野菜による癌の予防
平成17年のWHO(世界保健機関)の報告によれば、野菜と果物を摂取することで舌癌、食道癌、胃癌、大腸癌を減らす可能性があるとされています。
しかし、日本人を対象とした同様の統計では、極端に緑黄色野菜と果物を食べない人に癌が多い傾向はあったものの、多く食べただけ癌が少ないとは言えないという結論でした。したがって、大量の野菜をかじる必要はないと思います。全く食べないのは良くないだろうと言えるだけです。
野菜を食べない人は健康に無関心で、体に良くないことを他にもやっている傾向があると思いますので、それによる影響もありえます。つまり仕事の仕方、休息の取り方、タバコの吸い方、運動の仕方などが癌の発生に関与したかも知れません。
テレビでは「緑黄色野菜は癌の予防効果があるとWHOも認めた!今晩はカボチャ料理を!」と、紹介するかもしれません。表現の仕方に注意しないと、勘違いしてしまいそうです。
野菜を買う際に、農薬のことが気になります。外国産はもちろん、国産の野菜も一定の基準を満たしてはいるものの、残留する農薬がないわけではありません。比較的安全とは言っても、産地に注意し、よく洗って使うべきでしょう。穀物、肉、魚類も同様かも知れません。
統計の結果から考えて、運動不足、加工食品やアルコールの大量摂取など、一般に健康に良くないと言われることは避けて、緑黄色野菜と果物も‘適度に’食べるべきだと思います。
よく癌の予防のために、人に物を勧める人がおられます。私の母も、みのもんたの番組を見た後は「みのさんも言っていたから、癌を予防するために、これを食え!」と、しつこく勧めてきますが、食事に過度の期待をするのは現時点では無理だと思います。ただし、食事を軽く考えて、健康に良くないと思われる内容でも改善をしないでおけば、それは賢い生き方とは言えないでしょう。
平成20年5月 診療所便りより