当院で健康診断を受けられる方の中には、介護職を目指して勉強されている方が多い印象を受けます。 製造業の景気が悪く、職場が限られている影響でしょうか。
昨年末に政権が交代したので、今後は景気が改善するかもしれません。 閣僚の話の内容は時代遅れで頼りない印象もありますが、少なくとも改善しようという意志は感じます。予算を有効に使って、若者が人生設計できるようにして欲しいものです。
ビタミン剤による癌の予防
健康志向のせいか、薬のコマーシャルは一日中流れている気がします。一般の放送でもそうですが、宣伝専門のチャンネルには軽快な音楽とともに見るからに元気そうなタレントが登場して、しかも繰り返し宣伝しますので、薬を飲めば健康になれそうな気分になってしまいます。
あれだけ宣伝できるからには、儲けも大きいに違いありません。美容関係とグルコサミン、ヒアルロン酸が一番の人気ですが、ビタミン剤も根強い人気があるようです。
平均年齢64歳の米国医師を対象に、総合ビタミン剤を飲む人と飲まない人での癌の発生率を比べた統計があります{JAMA.2012;308(18):1871-1880}}。ビタミン剤により、年間で1000人中1人くらいは癌を減らせるかもしれないという結果が出ていました。
ただし詳しく分けて調べると、肺癌、前立腺癌など個々の癌の発生率や、最終的な死亡率はビタミンを飲むか否かで差がなかったそうですので、結局の意味はよく解らないとも言えます。 統計の際の計算方法によって、微妙な効果を強調することも可能ですし、差を打ち消してしまうことも可能です。総合ビタミン剤に関しては、著しい統計上の差があるとは言い切れず、有効かも知れないが助けられる人は年間1000人に1人程度と考えて、実際に飲むかどうかは本人に任せるしかないというのが結論になるでしょうか。
以前から、果物や野菜などを摂取すると癌が減る傾向が証明されています。それならビタミン剤でもと考えたのでしょうが、野菜果物の効用に関してはビタミン以外の要素、食物繊維や微量ミネラルなどの関与があるのかもしれません。野菜や果物を摂れというのが、今の時点での結論でしょう。ただし、血糖値が高い方では果物は計画的に摂取しないといけません。
平成25年2月分より (2013.02.28up)