食材誤表示が気になりましたので、年末のおせち料理の宣伝に注目していました。報道のせいか、例年より控えめだった気がします。
産地偽装、食材誤表示は昔からあるそうで、私達が知らずにグルメを喜んでいただけのようです。私はB級料理が好きですから、味や安全性だけ保障されていれば他は気にしませんが、嘘で不当な利益を得るなら道義的問題は感じます。
小さな嘘で実害はないから、あんまり厳しいことは言うなよ・・・そんな意識は誰にもあると思います。それが実害につながらないと良いのですが、先のことまで解るはずもありません。流通が発達した時代には、思いがけない影響がありえますので、それなりの倫理が必要です。
それとも偽装は高級料理の夢の演出、有難い趣向~初夢の一種と考えるべきでしょうか?
糖質飲料への課税
(糖質飲料税の効果)
最近、メキシコの大統領が糖を含む飲料に対して税金をかける案を発表していました。肥満者の割合が高いメキシコ人の健康と、税収の確保を考えた策だろうと思います。既にイギリスでの課税の効果が検討されています(BMJ2013;347:f6189)。
この報告によれば、課税によって1%程度体重が減るなどの効果があったそうですので、税率を上げればさらに有効かも知れません。ただし、1%程度の変化は調査する季節によっても発生しうるので、微妙な結果でもあります。体重が減り糖尿病が減るのか、血圧が変化するか寿命が延びるかなど、本当の意味に関しても不明のままです。
喉が渇いた時には何か飲みたいですし、暑い日には熱中症予防のために水分を摂取しないといけません。若干の糖分が入っていたほうが吸収しやすい、体力の消耗を防ぐと宣伝されていますので、糖分の濃度に注意されるならジュースも必要かも知れませんが、個人的には糖分の補給は食事から考えたほうが良く、飲料物の場合は高血糖や口腔内細菌のコントロール(虫歯対策)も注意したほうが良いと思います。
(ペットボトルの問題)
今の日本で糖質飲料の摂取量を減らすのは簡単ではないはずです。大きなペットボトル入りのジュースが店頭に並んでいますから、危険性が周知されにくい傾向があります。飲みすぎて血糖値が上がって救急に運ばれる若者も珍しくありません。
値段が割安な大きなボトルは、そのまま大量に飲みやすい傾向につながっているようですので、何かの規制が望ましいと思います。
単純にボトルの小型化を推進する、または論文のような糖質飲料税、ジュース税などを導入しては駄目でしょうか?
(税制上の問題)
実際に課税する場合、飲料物のメーカーには打撃になりますし、お茶やお菓子との不平等な課税は問題でしょう。お茶も作っている大手の会社は困らないとしても、ジュースばかり売っている会社には致命的な減収をもたらすかも知れません。
ペットボトルを作る会社も困るでしょうが、もともと廃棄処理に困っている状況は続いているはずですし、資源の節約も大事と思われますので、健康面を重視した政策的見地で調整していくべきと思います。
実態は知りませんが、お金持ちほど果汁百%のジュース類を買う傾向があるらしいという報告もあり、課税における低所得者に厳しい逆累進性も問題になるかも知れません。
それに日本では自動販売機の普及率が高いので、欧米ほどの効果はないかも知れません。欧米と違った手法も必要かと思います。そういった問題があるとしても、健康面への影響を考え、課税を検討してはどうかと考えます。
診療所便り 平成26年1月分より (2014.01.31up)