少子化対策について
子供が少ないのは国力に直結する問題ですが、報道されている国の施策では効果が出そうな気がしません。もし仮に私が若い女性なら、今の施策を聞いても子供を作ろうとは考えないでしょう。教育費や生活費の心配をするよりも、子供は少なくして自分の楽しみのためにも余裕を持ちたいと考えると思います。夜泣きで悩まされ、髪を振り乱して苦労して育てても将来が楽とは限らないなら、誰が産んでやるもんかいと考えるのが自然ではないでしょうか。
子宝は希望しても必ず授かるものではありませんので、せめて産みやすい環境だけは整えるべきだと思いますが、現状では生めば損してしまいそうです。金銭的な面では子供をたくさん作ったほうが得と感じられるように税金、補助金、年金制度を使って誘導すべきだと思います。
そのための財源をどうすればよいかは分りません。でも、例えば子供をたくさん産んだら年金が多くもらえると分れば、今は苦労しても生んでみようかと私なら考えます。今後じゅうぶんな年金は出ないらしいと分っていますから、私のような人間は卑属な言葉ですが、エサでつられます。お金の問題だけではありませんが、このような誘導は最低限必要だと思います。
3人目の子供に税金面で破格の補助をするというのも一手かもしれません。3人産めば税金が安くなると分れば、頑張ってみようかと考える人が出るように思います。人口動態に合わせて税金の控除率を変えれば、人口を調節できるかもしれません。このようなやり方以外に、政府の意志を示す方法はないかもしれないと思うくらいです。
国の主な仕事は、国家にとって必要な分野に予算を投資して、力を入れたい方向へ我々を導くことですから、本気で対処するならお金の面での誘導も大切です。それ以外の、もっと温かみのある人的支援も必要ですが、支援だけでは根本的解決にはならないような気がします。支援は、災害や政策の誤りを補償するためのもので、効率からいって利益誘導に敵わないのは歴史が証明するところではないでしょうか。
私は小子化問題の専門家ではなく、国がどのような対策を取るのか気にしているだけに過ぎませんので、見当外れのことを言っているのかも知れません。でも20年以上観察していても、少なくとも私は国の意志を感じることができません。誰が聞いても分るような明確な意志を示さないと、若い人達は動いてくれないと思います。
皆さんはどのようにお考えでしょうか。
診療所便りより 平成18年8月
院長 橋本泰嘉