4月から医療費の負担額が変ります。金額は微妙にしか変化しないだろうとは思いますが、負担金が増えるかもしれません。前月までの領収書と比べて御確認ください。  
睡眠導入剤のマイスリーなどをジェネリック品に変更します。負担金を減らすためです。医薬品は非常に高いので、支払いで苦労される方は少なくないはずです。額が気にならない方には申し訳ありませんが、他の方のためと思って御協力ください。     

 スギ花粉症の減感作      
(減感作) 
スギ花粉の舌下での減感作療法が認可されました(製品名シダトレン。平成26年4月の時点で発売は延期)。薄めたスギ花粉を少しずつ口に入れることで、鼻炎の症状を軽くする効果が期待できます。免疫寛容を誘導する免疫療法のひとつです。免疫寛容は古くから知られている現象で、少しずつアレルゲンに触れていると、害がないと免疫細胞が認識しなおす不思議な反応があり、それを人為的に誘導しようというのです。 
私自身も若い頃は花粉症で苦しみました。最近は薬が進歩したので、生活に支障を来たすことはなりましたが、減感作のような根本的治療には期待します。注射による減感作は以前からありました。でも、安全性に疑問がありますので、舌下療法が待たれていました。

(効果) 
開発時の統計を観る限り、症状が完全に消失する人は少ないと思います。でも元の症状の2/3程度への軽減は期待できます。軽い症状になれば、薬が必要なくなる方がいるかも知れません。  

(副作用)
舌下投与でも副作用はありえます。強い過敏性をお持ちの方はショック症状を起こし、命に関わる危険性もあります。人からもらって家で試しに飲んだりすると、血圧が下がり意識がなくなる、呼吸が止まるなど、急変する可能性があります。救急対応の準備が必要です。
少なくとも最初だけは必ず救急治療の能力がある病院で施行すべきです。滅多に害は出ないはずですが、万が一のことを考えて、点滴や救急医薬品を直ぐ使える状態にすべきです。間違っても、自分が効いたから他の人にあげようなどとされてはいけません。薬の管理には神経質なくらいの用心が必要です。

(その他の注意点)
その他の注意点としては、毎日2分くらいかけて飲む必要があること。2−5年くらい続ける覚悟が必要なこと。ヒノキやハウスダストには効果を期待しにくいことが挙げられます。2分かけて飲まない場合、急激な免疫反応が起こる危険性や、消化されて充分な反応が得られにくい可能性などの不都合が予想されます。2−5年続けない場合は、免疫寛容に至らず、効果が出ない可能性があります。
ヒノキやハウスダストに対する反応は、カプセルの内容がスギ花粉抗原に相当する物質だけなので、少なくとも直接は期待できません。でも副次的な効果はありうると思います。  
舌下療法を2−5年も続けるのは、費用や時間の面から考えると、相当な負担があるように感じます。正直、私自身は症状が軽いので花粉の季節だけ外用薬を使うほうを選びますが、重症で薬の効果が不充分な方や、外の仕事といった活動の状況によっては必要な方もいると思います。
   






  診療所便り 平成26年4月分より・・・・(2014.04.30up)