サプリメント

ハーブや漢方薬を含めたサプリメントをご使用されている方はたくさんいらっしゃると思います。いろんな質問を受けますので勉強しておりますが、非常に調べにくい分野です。


例えば、血液に作用すると言われる山七(田七)ニンジンを調べたことがありますが、販売している会社は数十社あって、それぞれが自分の製品を宣伝していますが、産地が正しいか、含有量がどれくらいか、他に何がどれくらい含まれているのかなどはとうとう調べられませんでした。当然ですが、いいことしか書いてないのです。


下記の効能は期待できます。


アロエ(アロエベラ) 便秘に有効
イチョウ       循環、認識能力をたかめる
オオバコ       主に便秘に有効
キシリトール     虫歯の原因になりにくい
ギムネマシルベスタ  糖尿病に有効
グアバ        糖尿病、高血圧に有効
セイヨウオトギリソウ 抗うつ作用を有する
朝鮮ニンジン     疲労回復に有効
マグネシウム     不整脈、子癇の治療


よく宣伝されている霊芝やメシマコブ、プルーンなどの効果については意外にも学術的な証明がされていないようです。(だから効果がないという意味ではありません。)


もちろん業者はデータを示して、こんなに効果がありますと宣伝しますが、データは操作すれば白を黒にすることは簡単です。大学病院の先生ですら、データ捏造で時々捕まっています。また、上に述べた材料が有効だとしても、目の前の製品にどれくらい含まれているか、産地がどこか、他に何が含まれているのか第三者が検査しているわけではありませんので、業者まかせになります。確かによく効くものもあるようですし、成分の含有量や産地が明示された商品もありますが、飲んでみなければ分からないのが現状です。


また有効であっても安全とは限らないのがもうひとつの問題です。例に挙げた有効成分も、安全性については不明なものがあります。健康食品の安全性についての情報源として比較的信用できるのは、国立健康栄養研究所の情報http://hfnet.nih.go.jp/main.phpでしょうか。会社が作る説明書は、しょせんは宣伝のためのものですから、あまり参考になりません。どこかの医学博士が勧めていても信用できません。原材料が天然のものでも、体質によってはアレルギーや肝障害が出ることがありますので、絶対安全とは言えません。


結局のところ私が自信をもってお勧めできる健康食品はありませんが、すべて無効で有害とは思えません。箱やパンフレットを持って来てもらうと調べますので、高いお金を払って買う前にご相談下さい。少なくとも業者よりは信頼できると思います。

補足 平成18年1月)
サプリメントがどのような効果を有するかについては、各々の宣伝内容を見ていただければ詳しく書いてあると思います。
では害はどのようなものがあるのでしょうか。ここで紹介してみたいと思います。


ただし基本的な考え方として、どんなに優れた食品でも、ある体質の方には予想もできない害が出る可能性はあります。ですから、ここで私が副作用の可能性があると書いた食品が特別に有害とは言えません。あくまで例として、副作用に注意するための参考にして下さい。


注意すべきサプリメントによる害の例

肝臓への障害
ウコン、シジミ、ノコギリヤシ、フキタンポポ、トリプトファン、とうがらしなど


 ウコンは肝臓の薬として使われる食品です。ウコンにも様々な種類があり、また非常にたくさんの人が食べている中での稀な副作用ですので、特に際立って有害な食品とは言えません。ただしウコンによる肝障害は、健康食品による肝障害の原因としては2〜3割を占めるという統計もあります。

糖尿病の薬との併用に注意が必要
 L−アラビノース、アルギニン、グアバ茶ポリフェノール、
桑の実、小麦アルブミン、クロム、セレン

いずれも血糖降下作用をうたっているものですので、糖尿病の薬の作用を急激に強めて低血糖を起こす可能性があります。例えば一般の野菜に含まれる食物繊維でも、急に増やせば低血糖の原因になりますから、要するに血糖に良いものすべてが血糖降下薬を飲んでいる人の場合は注意が必要です。何かの食品を増やす時には、必ず主治医に言わなければなりません。

ワーファリンを飲んでいる人で注意が必要
 EPA、イチョウ、ウコン、青汁、納豆、クロレラ、ビタミンE、ビタミンK、一部の茶

血液の循環を良くする効能がある食品では、血液のかたまり具合に作用してワーファリンの効果に影響する可能性があります。ワーファリンは、心臓病のために血液の固まる早さを遅らせる必要があるときに使う薬です。ビタミンKのはたらきと反対の作用をしますので、ワーファリンを飲みながらビタミンKを多く含む納豆や、クロレラ、青汁を摂ると、せっかくの効果がなくなってしまいます。また、ペットボトルのお茶の中には色を濃くするためにクロレラを入れてあるものもあるそうですので、これも注意が必要です。

骨粗しょう症の治療薬との併用に注意が必要
カルシウム、マグネシウム、ポリグルタン酸

骨粗しょう症の治療薬の中には、カルシウムといっしょに摂ると薬の効果が弱くなるものがあります。また、ビタミンDといっしょに摂るとカルシウムが血液の中で高くなりすぎて腎不全などの恐い副作用がでる場合があります。飲むタイミングや量などを主治医に確認すべきです。



平成17年4月  診療所便りより