レジオネラ肺炎(在郷軍人病) 

温泉に関係した肺炎があることは、ニュースにもなりましたので御存知の方も多いと思います。問題になったのはレジオネラ菌による肺炎です。県内でも循環式の浴槽を使った温泉で発生し、私も何人か診察しました。 


この肺炎の診断は、痰による検査が難しいので血液や尿でやりますが、菌はいくつかの型に分かれていて、菌の型によっては通常の検査で診断することが不可能の場合もあります。  
温泉以外で感染することもあります。有名なのは、アメリカの軍人の会議で空調設備を介して多数の患者さんが集団発生した事件です。このため、レジオネラ肺炎には「在郷軍人病」という別名がついています。おそらく下水に限らず、いつも水分がある環境下では生き残ることができるのでしょう。浄水器も怪しいと、個人的には考えています。  


レジオネラ以外にも、ちょっとくらい煮沸しただけでは生き残る菌は必ずいますので、何かのきっかけで大発生すれば感染症を引き起こしてしまいます。   


そもそも常識から考えても湯を循環させること自体が不潔で、個人的にはそんな施設を作る神経が信じられません。でも、見た目さえきれいなら気にしない人も多く、どの温泉も結構にぎわっています。今は管理基準が厳しくなったので簡単には感染しないと思いますが、菌を完全に除去することは難しく、検査基準を満たしたと言っても、菌の数が一定値以下であるというだけで、ゼロでないことは認識しておくべきです。見た目は当てになりません。  


保健所も毎日検査に来ることはできないでしょうし、施設が湯を循環させていないか調べるのは簡単ではないかもしれませんが、よく利用される人は確認しておいたほうが良いでしょう。