オードブル 


オードブルの意義
  
オードブル(前菜)は、フランス料理では野菜に何かをかけてあるものが多いようですが、アメリカでは最初から菓子が出ることもあるそうです。食事をする際に、主食より野菜を先に摂ったほうが体に良いというのは常識です。最初に主食や甘いものを摂ると血糖値が急激に上がるため、内臓に負担をかけます。
最近、日本糖尿病学会の雑誌に実際の影響を調べた結果が発表されました(糖尿病53(2):96-101,112-115,2010)。   


オードブルの効果
  
野菜サラダを先に食べた人達は、ご飯を先に食べた人達に比べて食後の血糖値が30〜50くらい低く、血液中に分泌されるインスリンも少なかったそうです。おそらく食物繊維が糖分の吸収を遅らせ、内臓が反応する時間をかせぎ、無駄な代謝の負担をかけないで済んだのだと思いますが、食物繊維だけの効果と断言はできません。野菜に含まれていたミネラルやビタミン、ドレッシングの成分、噛むのに要した時間、あるいは「食事の実験に参加する」という意識が影響したのかも知れません。 


調理の影響  
生の野菜と湯がいた野菜で効果が異なるのか、炒めたらどうかという点については、この実験では解りません。一般的には生野菜のままでは量が多くて食べるのが大変なので、多少は調理してよいと言われています。寒い日に生野菜を食べると、お腹に負担がかかるかもしれません。ただし、調理によってビタミンやミネラルが失われるとは思いますので、その程度は軽くしたほうが良いでしょう。 


ドレッシング 
試験ではドレッシングの成分にも注意し、オリーブ油など植物性の成分を中心に配合してありました。 ドレッシングの油分が多すぎれば害が予想されますし、塩分がないと味がなさすぎて食べにくいという問題もありますので、市販品の中から慎重に選ぶか、できれば御家庭で作られるべきかも知れません。
油が植物性かどうか、シス〜トランスという分子構造の問題、酸化されているかどうか等も気になります。市販の製品の中には多量の油が含まれるものもありますし、塩分に関しても相当なものです。 


野菜の種類  
野菜の種類によって効果が異なる可能性もあります。野菜の中には糖分が多いもの、特にその吸収が速いものもあります。スイカは野菜だから制限なく食べてよかろう・・・そんな理屈では血糖値が上がります。
一般的に勧められているのは、緑黄色野菜を中心に特定の野菜にこだわらず、種類を多く、一食100グラムを目標に三度三度食べることですが、100グラムという数字には必ずしも根拠はないと思います。緑黄色野菜にも色々ありますし、特定の野菜に著しい効果や害があるのかについても気になりますが、明確には解りません。  
ちなみに試験では生のキャベツを60グラム食べてもらったそうですので、結構なボリュームがあったと思います。もしかすると、どんぶりが必要だったかもしれません。そこまでの量でなくても、可能なら皆さんも野菜の摂取を心がけてみられてはいかがでしょうか?





診療所便り 平成22年10月より(2010.10.31)




  

おフランスでオードブルは常識よ