尿酸 


血液検査で尿酸が高いと言われたことはないでしょうか?尿酸は痛風と関係しますし、代謝がうまく機能していないことを推測させる検査値です。


痛風は、尿酸が結晶を作って激しい炎症を起こす病気で、足の親指の付け根などが好発部位です。風が吹いても痛く感じると聞いていましたが、それはオーバーな場合が多いようです。尿酸が高いと必ず痛風を起こすかというと、そんなことはありません。尿酸の数字が低いから痛風でないと言われる人がいますが、低くても痛風を起こす人はいます。


最近話題のメタボリック シンドロームは、お腹が出て血圧や中性脂肪が高い人などが当たりますが、このような人は尿酸値も高い傾向があるようです。


腎臓が悪い人は、尿酸を排泄できないために非常に値が上がります。見ていて怖くなるくらいですので、透析前の人には大抵薬を出します。最近、フェブキソスタットという薬が開発されていますが、アロプリノールという薬が今のところの定番です。でも副作用は結構ありえます。


腎臓が悪くない人では、食事療法が必要かどうかに関する体のサインのように考えていいと思います。尿酸のもとになる肉の制限をすべきかどうかは食事内容によります。例えば、毎日ステーキを食べる人は制限すべきだと思いますが、常識的な食事のされ方の場合は制限しても尿酸値の低下は1くらいに止まることが多いと書いてありますので、肉類を禁止するような無茶な制限は必要ないかも知れません。カロリーの高いもの、特にアルコールは控えたほうがよいと思います。


カロリーが高い食事で尿酸が高くなる理由は、尿酸のもとになるプリン体から尿酸の合成が進むらしいと結論されています。これは、ちょうど中性脂肪と同じような動きです。相撲取りは魚肉も大量に摂りますが、なんと言ってもカロリーが凄いので尿酸値が高い人が多く、ケガで休場する力士の多くは本当は痛風を起こしていると講演で聞いたことがあります。力士ほどの体格でない人も、「自分は力士と同じような食い過ぎ状態なんだ。」と理解すべきだと思います。


カロリーの高さやアルコールの量は、個人によって適量の感覚が随分違いますから、飲酒を止めて下さいと申し上げると、本人は「えっ? 私はほとんど飲みませんよ。」と言われるのに、奥さんに聞くと酒びたりだったりする人もおられますので、難しいところです。


尿酸のもとになるのはプリン体ですが、ビールに多く含まれると言われています。最近、プリン体をカットしたビールが販売されていますが、カロリーは高いはずなので尿酸値の上昇をさせない効果があるのか疑問に思います。




診療所便り  平成19年2月より