STAP細胞という技術が報道され、また細胞工学に注目が集まりました。現時点で開発の成功に関しては疑問が持たれていますが、もし他の施設で再現実験に成功したら、本当に画期的なことになります。
別の研究機関の先生は、癌細胞を無害な細胞にする技術を開発中だそうです(Scientific Reports4,3852 doi10.1038)。実現したら、癌のイメージが大きく変ってくると思います。
豆類の摂取と寿命
豆類(ナッツ)の摂取が多いと寿命が延びるのでは?という意見があります。11万人を対象とした統計の結果が発表されました(N Engl J Med 2013;369 :2001-2011)。一定期間で比較したところ、ナッツ類の摂取によって約1割くらい死亡率が減るようです。もちろん、永遠の命が得られるという意味ではなく、微妙に有効ということです。
子供の頃、ピーナッツを食べ過ぎると鼻血が出ると聞かされていましたが、あの意見の根拠は解りません。出血傾向が生じる、鼻の粘膜がうっ血する、特に鼻血が増えるといった統計はないはずですので、迷信だったのかも知れません。
ナッツ類にはミネラルや脂肪酸、アミノ酸などの有益な成分が含まれる一方で、脂肪分の過剰摂取でカロリー過多となる可能性もあり、制限なく食べて良いとは思えません。調理の仕方によっては、リンなどの過剰摂取によるカルシウム代謝への影響も予想されます。味付けのための塩分や、防腐剤などの添加物も気になります。実際に大量摂取したために血圧が上がったと思われる患者さんも経験します。
産地や加工の仕方にも注意すべきでしょう。安い製品は、もしかすると衛生管理が不充分かも知れません。でも、この統計においては問題となる害は認められなかったようですので、心配し過ぎる必要はないのかもしれません。
このような統計を読む時は、どなたにも摂取を勧めて良いのかが問題になります。ナッツ類を積極的に摂取することで、血糖値を上げるかどうか、肥満を助長する結果にならないか等については、信頼できる統計を知りません。したがって、何かの代謝疾患を持ってらっしゃる方は、無制限に食べるのは心配です。 食物アレルギーがないかも当然大事です。ピーナッツアレルギーは珍しくありません。
血糖値や肥満、アレルギーなどの問題がない方は、過度に制限する必要はなく、むしろ積極的に食べたほうが良いのかなと思いますが、適量がどれくらいか解らないというのが結論です。
平成26年3月診療所便りより・・・・(2014.03.31up)