のう胞 


エコー検査で、
のうほう(嚢胞)があると言われたことはありませんか?


嚢胞は、何かの理由で組織が抜けて体液が溜まった状態を差します。年齢が上がるほど良く見かけますので、加齢が関係しているように思います。できる詳しい理由や機序は解りません。一種の免疫反応によって組織が自分で抜け落ちるアポトーシスという言い方の反応ではないかと想像しています。


あらゆる臓器にできる可能性があるはずですが、見つかりやすいのは肝臓、腎臓です。健康診断のエコー検査でよく分かります。  


嚢胞には通常なら害はありませんが、嚢胞と画像上似ている癌と区別できるかどうかや、場所と数が問題になります。病気としての意味がありえるのは、

@嚢胞の壁の一部に癌が潜んでいる時、
A腎臓に多発して機能の悪化をともなう時、
B卵巣に発生し増大傾向の時、
C膵臓の炎症の後に出現した時、
D
甲状腺嚢胞の内部に出血して腫れた時    などです。


意義があったとしても、癌でない限り通常は手術するようなことにはなりません。どうやっても検査で癌と区別できない場合、切除して初めて結果的には癌でなかったと分かることもあります。 稀に膵炎の後に巨大なのう胞が形成され、周囲に波及した場合などは除去が必要になることもあります。


検査担当者に尋ねて害がないタイプだと断言されたら、ほとんどの場合は気にする必要はありません。概して肝臓や腎臓の嚢胞は病気に関係ないと言えますが、膵臓や卵巣の嚢胞は癌や膵炎などの病気と関係することもあるので、念入りに検査したほうが良いでしょう。





診療所便り  平成21年7月