昨年の北京オリンピックのハンマー投げ競技で選手のドーピング(薬物使用違反)が発覚し、室伏選手が繰上げで銅メダルを獲得したそうです。  


ドーピングというと筋肉強化剤が有名ですが、意外にも風邪薬や漢方薬も対象になります。含まれる成分に問題があるからです。 風邪薬や漢方薬には興奮剤がしばしば配合されています。子供さんや老人では注意が必要で、特に麻黄による害は有名です。



 医療用モニター 

機械の開発が進んで、様々なモニター(計測装置)が実用化されています。医療用のモニターは、病状の持続的監視装置という意味合いがあります。ドラマにも出てくる心電図や血圧のモニターには歴史があり、緊迫感を盛り上げる効果があるので、よく使われています。その他に血中酸素濃度(分圧)、最近は二酸化炭素、一酸化窒素なども測れるようになり、管理方法が拡がってきました。  


家庭用の血圧計も使いようによっては一種のモニターになります。ホームセンターや電気屋さんには5000円〜2万円くらいの商品が置いてあります。最近は腕を突っ込んで測るタイプの血圧計が流行ですが、あのタイプは腕の太さ、血管の深さなどにかなり影響されますので、値が不正確になる人もおられます。以前からある腕に巻くタイプのほうが無難です。 一日中測定できる血圧計もあります。 


血糖値を測る器具も多くの種類が出回っています。血糖値を一日中記録する機械や、自宅で胸に当てただけで心電図を記録できる器具もあります。病状が不安定で頻繁に低血糖や狭心症の発作を起こす人は、何かの判断材料がないと不安です。例えば家で記録した心電図を病院に送ることも可能ですので、それで緊急性を判断できます。    


ご自宅で血圧や血糖値を測る場合に、よく測れば病院での検査の代わりになりますが、あまり神経質になると精神的な影響がありますし、必ずしも治療成績を良くしないばかりか、逆にコントロールに悪影響が出る場合もあると報告されています。 


自己判断で薬を調節する人もいて、医者が考える処方と全く違った内容を自分の判断で「今日は高いから薬を勝手に増やそう。腹いっぱい食べたいから注射を増やして黙っとこう。」などとやってしまうと、どのように処方したら良いのか解らなくなりますから、病気の長期的なコントロールが難しくなってきます。 


過度に神経質になるタイプの人は、測定の回数を主治医と相談したほうがいいでしょう。測れば測るだけ良いだろうと単純に考える人も多いのですが、データは医師との相談のための材料というのが基本的な意味合いです。データから対応を自己判断できる人は限られているのが現実ですので、ご自分の判断能力を過信しないほうがいいと思います。


いっぽうで全く測定をしない人は治療の指標がない状態になります。モニターは主治医と相談しながら、意味を考えて使うべきでしょう。





平成21年2月 診療所便りより