牛乳と糖尿病の関係 


牛乳と糖尿病の発症に関係があるなんて勘違いでは?と思われるかもしれませんが、有名な話です。20年くらい前から言われています。   


乳児に早くから乳製品を与えると1型糖尿病が増えるという説があり、乳製品に含まれている蛋白を免疫細胞が認識し、誤って人の膵臓を攻撃してしまうためではないかと想像されています。
乳製品をあげる時期を遅らすと、それが予防できるという説がありますし、乳製品の蛋白の調整も有効ではないかという研究も最近発表されました(N Engl J Med 2010;363:1900-8)。    


日本人の大人にとって乳製品が極めて危険とは思えません。カルシウム、蛋白やビタミンなどをバランス良く摂取するためには最高の食品です。害に関しての報告は主に北欧など外国のデータで我々とは人種の違いもありますので、あまり気にしないほうが良いと思います。   


ただし、例えば母乳が充分出るのに乳児に早期から乳製品与えるべきとは思えません。骨粗鬆症予防の目的で大量に摂取すべきとも思えません。適量については私も解りませんが、食品交換表(日本糖尿病学会)で例示されている1日摂取量は180mlです。ただし、充分に裏付けされた根拠はないと思います。


可能性だけを考えると、例えば飼料に含まれていた物質が牛の体を通して人体に移行するかもしれません。遺伝子操作をした食品が家畜に投与され、それが巡り巡って人体に影響を及ぼす可能性もあります。
実態は解りませんが、牛の成長や感染予防の目的でホルモン剤や抗生物質を与えていた場合は、おそらく牛乳にも混入してくるはずです。そのような薬でなくても、牛の免疫に関係する人為的操作があった場合、牛の免疫蛋白の変化が人体に影響を与える可能性がないとは言い切れません。  


数千年に渡って人類は家畜とともに暮らし、牛乳も飲んできたはずですから、危険性について過度に神経質になる必要はないはずです。でも、できれば古来からの形態に近い形で家畜を管理し、乳製品を提供してもらいたいと思います。    



平成23年1月 診療所便りより ・・・(2011.01.31up)