韓国の客船事故は気の毒です。沈み行く船を前に手をこまねいて見るままに近い状況でしたので、遺族はさぞ御無念と思います。報道によれば、船長や船会社を罰する動きがあるそうです。 
法律に違反していた面に関しての処罰は当然で、御家族の気持ちを思うと厳罰にして欲しい気もしますが、視点を変えて考えれば、処罰よりも再発予防のために情報を提供させることが大事です。罪を怖れて真実を隠されると、問題点の洗い出しに支障を来たします。
事故原因が究明され、再発予防につながることを祈ります。     


 薬と眠気     

薬品は程度の差こそあれ、一般に眠気を催す傾向があります。睡眠剤は当然そうですが、他の薬でも人によっては眠くなります。 
有名なのは、花粉症の薬です。薬によって違いもありますが、眠気はよく出ますので、運転される際は用心が必要です。私も商品名‘セレスタミン’や‘ポララミン’といった薬を飲んだ時は、眠気で仕事に支障を来たします。いっぽうで同じ薬を飲んだ方でも、かえって眠気が取れたり興奮して不眠に陥る場合もあり、反応には非常に個人差があるようです。 

風邪薬も同じです。総合感冒薬には、鼻水を止めるために‘抗ヒスタミン薬’が入っていることが多いはずですが、これは個人差はあるものの、眠気につながります。 風邪薬を飲んで運転する場合は、途中で耐え難い睡魔が襲ってくるかも知れません。風邪薬でどの程度の事故が発生しているのかは知りませんが、おそらく死者も相当数出ていると思います。 

稀な例まで含めると、そのほか多くの薬剤で眠気が生じます。下に提示してみますと、覚えきれないくらい多くなります。

@抗うつ剤、Aけいれんを止める薬、Bめまいの薬、Cお腹の痛み止め、D不整脈の薬、E頻尿の薬、F痛み止め、G解熱剤、H咳止め、I血圧の薬、J糖尿病の薬、K抗生物質・・・・病院で処方される、ほとんど総ての薬品と言えます。でも眠くなるから痙攣の薬を止める、血圧の治療を止めると非常に危険です。眠くならない薬を選べば良いわけです。

薬箱の注意書きを丁寧に読んで見られると、小さく「運転注意」「高所での作業には注意」などと書かれているかもしれません。それは眠気やめまいなどを来たす可能性がある薬剤であることを意味します。始めて飲まれる時には一応の注意はして下さい。
少なくとも注意書きには必ず眼を通し、眠気を意味する文言の有無は確認して下さい。 

各々の薬で眠気を感じなくても、薬同士の‘相互作用’で眠くなることがあります。併せ呑みについては皆さんも御存知と思いますが、各々の薬で眠くならない時には思いつかない場合もあるようです。例えば、風邪薬と普段の鼻炎の薬、鎮痛剤と抗生物質を同じ日に飲む場合はありうると思いますが、非常に眠くなっても不思議ではありません。過去に飲んだことがあっても、単独で問題がなくても、あわせ飲みで効果が変る場合があることを知っておくべきです。  
くれぐれも居眠りで事故を起こされないよう、御用心ください。 



  診療所便り平成26年5月分より・・・(2014.05.31up)