
使用後の注射針は、業者に頼んで廃棄しています。廃棄物処理法の規定に従い、処理現場の状況を確認すべく実際の処理施設に行ってみたところ、医者が来たのは初めてだと言われました。
仮に業者が偽って不正に処理していた場合、業者のせいだから自分には責任がないと言いたいところですが、確認する努力をしたのかという点は無視できません。
最近問題になっている放射性物質を含む廃棄物の処理には厳重な注意が必要で、勝手に廃棄されたら大変です。害がどれくらい出るのか直ぐに解らない点が一番怖いと思います。
放射性物質でない廃棄物に関しても、危険性が低いからと業者任せにはできません。捨てる側の責任の自覚が必要です。一般の家庭ゴミでも、そうだと思います。
糖尿病が治る薬?
テレビの健康バラエティ番組で紹介された「糖尿病の革命的新薬」のことを御存知でしょうか。私は番組を見ていませんが、放送されたのはDPP−4阻害薬、GLP1アナログと分類される薬のことのようです。昨年に「インクレチン関連薬」として解説した薬です。健康バラエティ番組を見ている人は多いらしく、よく質問されますので、あらためて解説します。
これらの薬は強力な作用は持たないので、誰でも治るほどの効果はなく、その意味では本当の夢の薬とは言えないのですが、緩やかながら新しい効果を期待できるので悪い薬ではありません。当院でもジャヌビアという製剤を採用しています。
糖尿病の基本的な薬であるインスリンやオイグルコンなどには太りやすい、低血糖が発生しやすいなどの大きな問題点がありますが、新しい薬はその点で工夫してあります。したがって、今の薬で副作用ばかり目立つ場合には、変更も考えるべきと思います。 内蔵に負担をかけにくいので、糖尿病の進行を抑える効果も期待できます。
しかし、これらの薬には消化管の動きを抑制する作用がありますので、吐き気が出やすいのが共通した問題点です。また、正常な状態で分泌されるホルモンを抑制する薬ですから、長期間使った場合の問題も解りません。 免疫関係の細胞にもDPP−4という酵素は存在するそうですので、免疫力に関係する可能性が全くないとは言えません。 インクレチンというホルモンは短時間で分解されるのが自然な状態だったのに、血液中に残存するようになった場合にどのような変化があるのか、特に長期間でどうかは誰も解りません。 それに薬の強さに関しても、食事療法の必要もないほど効くわけではないので、革命的新薬という表現もオーバーだったかも知れません。
新薬は他にも開発されつつあります。内臓に負担をかけない、重大な副作用がない、低血糖をきたさない、そのような目標で工夫がされています。おそらく発売の際には「画期的、革命的」といった表現で宣伝されると思いますし、テレビや雑誌においては注目を集めるために必ず強調した表現が採用されると思います。 糖尿病の外来での治療は長期間に及ぶので、方法を選ぶ際に緊急性はなく、慎重に評価したほうが良いと思います。
平成23年11月診療所便りより(2011.11.30up)

