保険と血圧の関係 


万が一何か大きな病気をした時のことを考えると、生命保険は必要です。血圧が高くても保険に加入できますが、未治療の場合は断られることもあるそうです。   


血圧の治療は、保険と似ています。高血圧の人は脳卒中などを起こして倒れる可能性が高いのですが、治療で血圧を下げれば危険度を下げることができます。将来起こりうる危険に備えるというのは、ある意味で保険をかけるようなものです。ただし、これから起こりうることに備える点は同じですが、危険度を下げる予防効果は保険にはありませんから、その点は違います。


保険で気になるのは、まず保険料です。テレビで頻繁に宣伝していますが、よく考えると安くはありません。血圧の治療にも費用(治療代、通院の費用)が必要です。それに病院や薬局での待ち時間も苦痛に感じる人が多いでしょう。時間と費用の無駄に思えるかも知れません。    


血圧の治療は寿命を伸ばします。これは学者達の研究ではっきり結果が出ています。治療しても倒れる可能性がゼロにはなりませんが、確率は随分下がります。倒れたら経済的、精神的な損失が大きいので、血圧の治療には費用をかける意味があると思います。治療したほうが家計の節約になるという研究結果も出ています。  


生命保険をかけたから倒れても大丈夫、治療はしない、酒も浴びるほど飲むというのもひとつの考え方ですが、保険会社は抜け目ないので、保険料設定や細かい規定で会社が損しないようにします。結局は、ほとんどの人にとっては掛け損に終わるはずです。保険は税金の控除が得られるという個人的利点はありますが、社会全体からみれば効率的な支出とは言えません。


社会保障費用の節約のためには血圧が高ければ治療したほうが効率が良いという結論になります。 
 




平成21年11月30日 診療所便りより