変形性膝関節症の運動療法
膝の故障を抱える人は多く、痛い人を探すより痛くない人を探したほうが早いくらいです。体操して下さいと言っても、「痛くて運動なんてできません。安静にしています。」とおっしゃる方がほとんどです。
確かに痛い時に我慢して歩くのは良くありませんが、関節が固くなってしまうと動く時に余計に痛みが強くなりますので、運動は欠かせません。明確な根拠が証明されたわけではありませんが、体重をかけないなら悪化しにくいと言われていますので、重みをかけない動き方を工夫して、なんとか運動するように努めるべきです。
一般の医者や保健婦さんなどは、昔からの考え方にしたがって「散歩が運動の基本です。」などと勧めるかもしれませんが、散歩にこだわると無理しますので、体操を中心にされると良いでしょう。もちろん、痛みがなく、心臓などに何の問題もなければ散歩して結構です。
運動療法に関しては、運動の方法と効果を大規模に調べた統計がほとんどありません。各施設の自己流でやられていて、他の方法との客観的比較はされていないことがほとんどですので、決定版を紹介することはできません。右に運動の一例を図示します。座っての運動ですので、少なくとも体重はかかりません。
筋力をつける目的でされる時は、負荷をどれくらい、時間をどれくらい、どの向きにかけるかの工夫が必要になります。ついつい重くしすぎて痛めてしまう人が多いようです。状態が良くなって痛みがなければ、椅子から立ち上がる訓練、スクワットなどの体重をかける運動も可能かも知れません。
運動は、膝の傷み具合によって回数や向きを考えなければなりません。ある先生によれば、O脚の場合は太ももの前内側の筋肉を中心にトレーニングすべきだそうです。がに股の状態で足を挙げれば筋肉のバランスは改善するかもしれません。ただし、運動の回数、時間、頻度、負荷をどのようにするかによって、効果があったりなかったりすることが予想されます。
また、筋肉のバランスは数十年かけて狂っているはずですので、数日で効果が出るとは思えません。さらに、障害の程度が強い人は、この運動でも膝の痛みを感じるかも知れません。個別に考える必要があります。