コンドロイチン硫酸、グルコサミン 


通信販売やテレビのコマーシャルで、「膝が痛む人には、これが一番!」といった薬が紹介されるようになっていますが、医学書には効果が書いてありませんので、気になっていました。飲んだ薬の成分は、本当に膝に移行するのでしょうか?腸や肝臓で分解代謝されて全く別の物質になってしまうなら、飲んでも関節まで届かないはずです。  


膝関節炎の治療薬として発売されているコンドロイチン硫酸、グルコサミンの内服薬に効果があるのか、GAIT試験という研究がされました。日本での試験ではありませんので、使われた薬が日本で販売されているのと同じかといった細かいことは解りませんが、試験の結論は 使われた薬に鎮痛剤ほどの効果はないというものでした。   


この試験はアメリカ人が対象ですので、日本では結論が異なるかも知れませんが、一般に関節炎は自然に軽快〜悪化を繰り返すので、効いたという体験談も本当に有効か偶然なのかの判断が難しく、思い込みや宣伝で言っているだけで、実は効いてないのかも知れません。  


薬を飲まなかった人との比較もされていますが、これもわずかの差しかないため、コンドロイチン硫酸、グルコサミンの内服薬は、少なくとも膝関節炎の特効薬でないと言えるようです。股関節についても同様の報告があります。  


ただしGAIT試験だけで結論を出すのは早計で、全く無効とは言えません。鎮痛剤でも痛みが取れないような人には、多少の効果があるかも知れません。    


ヒアルロン酸の関節内への注射には効果があると思われます。実際に注射した患者さんが効果があったと言われますし、統計的にも効果が証明されているようです。ただし、一時的ですので繰り返さないといけませんから、感染の危険性などの長期的な問題はあると思います。



平成19年5月診療所便りより