ジェネリック医薬品について

ジェネリック医薬品の利点
   @医療費を節約 
     A本人負担も軽くすることが可能
    B主成分は同じと思われる

問題点
   @効果が先発医薬品と同じとは限らない
    A予想できない副作用の可能性がある
  


最近、新聞や雑誌でジェネリック医薬品の広告をよく見ます。ジェネリック医薬品は、新薬の特許が切れた後に発売される医薬品です。後発、ゾロ薬品などと言うこともあります。
新薬開発の時は厳しい検査で効果や安全性を確認しています。このため開発するまでに相当な金がかかるので、特許権を設けてメーカーが保護されるようになっています。でも権利が切れた後は他の会社が販売できます。開発の経費が少ないので値段が安くなります。
   


費用面の軽減効果
医療費が年々増大していますので、薬をジェネリック医薬品に切り替える運動が起きています。健康保険組合から送られてきた文章にも、ジェネリック医薬品を利用して下さいと書かれています。丁寧に差額まで計算してある書類まで同封してあるので驚きますが、なんとかジェネリック医薬品に移行させようという政策によるのでしょう。
最大限に切り替えれば、日本全体で年間1兆円くらい節約できると試算されています。30日分の薬代を比べてみますと表のようになります。表は左から先発品、その値段、後発品、その値段を示しています。後発品はたくさんありますが、一例を挙げています。

  先発医薬品名

月間薬代

後発品名

月間薬代

差額

アムロジン5ミリ
  (降圧剤)

\1920 

アムロジピン

 \1296   \624

患者さんの窓口負担を考え、効果や安全性が同じなら切り替えるべきだと思います。ところが問題はその効果や安全性にあります。


副作用、効果の問題
薬を後発品に切り替えたために、発疹が出ることがあります。主成分は同じでも、薬を安定させる成分が微妙に違うためのようです。また、同じ含有量のはずなのに7割くらいの効果しか出ないこともあります。原料の製造所が同じはずなのに効果が弱いという例もありました。生産ラインの微妙な違いによるようです。説明書では全く同じと書いてありますが、すべては信用できないというのが実感です。
 

優れた製品もあります。レニベースという血圧の薬は、長く開封していると薬が安定しない欠点があったのですが、レニベーゼというジェネリック品にはこの問題がなく、効果もほとんど差がありません。それでいて値段は1/3程度です。

オレンジブック
ジェネリック医薬品に関する情報源は少なく、わずかに「オレンジブック」というもので調べることが可能です。オレンジブックはインターネット上に公開されていますが、医薬品業界が運営する団体の調査ですので、都合の悪い情報は書かれていないかもしれません。検査をした機関名が不明、検査方法、検定に対する責任、検査機関と製薬業界との関係なども不明です。

管理手法の問題  
薬を処方するからには、副作用が出た場合の判断、対処が当然必要です。処方した医者が、実際に患者さんがもらった薬がどのようなものか理解していなければいけません。しかし、実際には薬局が薬を選び、医者は事後報告を受けるだけです。そして、医薬品の性能に関しては薬剤師も医者も曖昧な知識しか持ちません。添付文書かオレンジブックだけが情報源ですので、客観的な評価は困難です。したがって軽い副作用には気づかないかもしれません。このような管理手法は危険だと私は思います。
  

当院の方針
当院でもジェネリック医薬品を採用しており、紹介もしますが、特に変更の希望がなければ先発品を続行する方針です。また、明らかに優れているという情報がないものは採用しておりません。さらに、院外処方にすると効率がいいのですが、院内処方を続けています。ジェネリックに切り替えても、院外処方では患者さんの負担が増えるからです。




診療所便りより   平成22年6月30日