フード ファディズム


紅茶きのこ、にがり等の効用が紹介されると、たくさんの人が商品に群がります。このような行動をフード ファディズムと言うそうです。ファディズムは「気まぐれ、流行を信じること」の意味ですが、最近は宣伝に翻弄された信者がたくさんいます。ある番組が虚偽の報道のために放送中止になりましたが、虚偽すれすれは他にもあります。


例えば、「カルシウム5mg塩化ナトリウム5g食物繊維1g配合、カロリーオフの燃焼系食品!」と表示されると、何だかとても体に良いような気がしますが、カルシウムはゼロに等しいくらい少なく、塩化ナトリウム(塩)は逆に多すぎて血圧に影響し、カロリーオフはカロリーがゼロではなく、一定以下のカロリーであることを意味するだけです。


意外なことにカロリーオフという表現は、カロリーがあっても基準以下なら認められるため、違法広告には当たらないそうです。しかし、一般にオフというと全くカロリーゼロと考える人が多いのではないでしょうか? せっかく基準を設けるなら、もっと誤解を招きにくいようにしてもらえると良かったかも知れません。


また、我々は数字を挙げられれば、意味が解らなくても安心してしまうところがありますし、‘燃焼系’という本来の意味が不明瞭な表現にもイメージだけで解釈してしまって、だまされやすい傾向があります。売る側も、それに訴えてきますから、用心が必要です。 



後で後悔しないためには、テレビなどで紹介される内容を判断できるだけの常識を身につけるように、しっかり勉強しておくことが必要ですが、勉強のやり方が問題です。


例えばインターネットで検索する時には、ネットの検索順位は商品の宣伝が上位に並ぶようにできていますので、結局はいいことしか書いていない情報をうのみにしやすくなります。書店の本でも似たような傾向はあります。また、ネットの情報は概して質に問題があるような気がします。


宣伝なのか、そうでないのかを確実に見分けられればいいのかも知れませんが、そんなことができる人はいないでしょう。



平成19年7月 診療所便りより