チョコレートの功罪
私はチョコレート中毒患者です。何度か止めようと努力はしたのですが、いつの間にか食べてしまいます。チョコは麻薬ほどではないものの、依存性を誘発するらしいと言われています。
チョコレートの害に関して、まず含まれる糖分と油分の作用が心配されます。カロリーが高く、代謝に負荷をかけるはずです。糖尿病の方には害が強く出る可能性がありますので、原則として禁止しないといけないでしょう。
糖分の摂り過ぎは精神的不安定と関係する、例えば甘いものが切れると怒りっぽくなる人もいるという報告もあります。そういえば、私の家族も食事が遅れると下らないことで喧嘩をしています。また、糖分は歯にも良いはずがありません。
いっぽう、含まれるポリフェノールが血管に良い作用をするという報告もあります。欧米の研究家は色んな雑誌でチョコレートの効能を報告し、心臓病を減らすなどと書かれているものもあります。それを宣伝に使って、最近は脂肪分を減らしてカカオ成分の割合を高めた製品なども販売されています。
でも実際の効果は、あるとしても微妙な程度と思えます。カカオが効くから心臓病の薬になる、糖分は減らしてあるから糖尿病の人でも大丈夫と言ってよいほど歴然とした効果は証明されていないと思います。あくまで少量を楽しむ嗜好品と考えるべきでしょう。
大量に食べると人によっては害のほうが強く出ることもありえますので、積極的に食べてくださいとは言えません。糖尿病、中性脂肪が高い人、脂肪肝がある人、肥満体型の人などは、おそらくですが害のほうが大きいかも知れません。
子供時代に駄菓子屋でチョコを買うと、それだけで幸せな気持ちがしたものです。お金に余裕があれば‘バッカス(商品名)’を買おうか?でも中にお酒が入っているから酔っ払うかな?などと心配していました。チョコに独特の思い入れがあるのは、もしかすると依存性の一症状なのかも知れません。
遭難事故に遭った人達がチョコレートで飢えをしのいだという記録も多いので、この世にチョコがないほうが良いとは考えられません。でも、人に勧めるようなものでもないと思います。チョコは犬や猫には有害で、食べると死ぬこともあるそうです。犬達は欲しがるので、私は知らずにあげていましたが、悪いことをしました。私自身が食べる量も制限したいと思います。
平成22年7月診療所便りより 2010.07.1up