薬の分封の是非

子供の頃病院に行くと、粉薬を混ぜて紙に包んでもらっていました。風邪用の処方が決まっていて、体重にあわせて量を調節してもらっていたようです。


高齢者の場合は、一個一個薬を取り出して飲んでいると、飲み方を間違う人がいます。特に心臓病などは薬の種類も多くなりますから、わけが分らなくのも無理がありません。そのような場合には、朝はこれとこれ、晩はこれというように、袋にこわけしてもらった方が間違いが少なくなります。

でも人間のやることですから、いろんな薬を混ぜるうちに間違える危険がありますし、他の薬や空気中のチリの混入をどうしても避けられません。薬剤師の先生達も、自分の子供の薬を作る時だけは念入りに掃除すると言うくらいですから、結構不潔で危険なものを飲んでいたことになります。


外国では混ぜないで処方されて、これは抗生物質、これは解熱剤という具合に自分でひとつずつ飲む国も多いそうです。値段の関係もありますが、箱単位で処方してもらって、箱を開けては1個1個選んで飲むのが普通です。日本のほうが特殊なのです。



当院では可能な限り薬を混ぜないようにしています。あらかじめ包装された製品を購入し、量の微調整は「1袋の半分を飲んでください。」という具合にお願いしています。安全性を最優先するときに、他に方法がないからです。


馴染みのないやり方かもしれませんが、やがてこれが標準になると思います。薬を間違えるのを恐れて病院で調整するように希望される方が多いのですが、実は薬局でも絶対に間違えないところなどありません。でも、その間違いをどうやって発見できるでしょうか。そして微量に混入している薬は何の薬か分りません。抗がん剤や麻薬かもしれません。


薬の種類が多くて飲み方が分らない方は、お申し付けいただければ分封いたします。でも基本的には薬の種類を減らすようにしていますので、めったに解らなくなる方はおられません。。

以上のような理由で、ご自分で薬を選び出し、量も調整していただかなければならないことがありますが、私が患者の時にやって欲しいやり方です。ご面倒をおかけしますが、ご了承下さい。




診療所便りより    平成18年6月