尿について

・・さて尿と言えば、皆さんの身近にIgA腎症の方はおられないでしょうか。IgA腎症は症状のない腎臓病の一つですが、尿に蛋白や血液が出て発見されることが多い病気です。腎臓病の中では比較的経過が良いほうですが、病気が進行しないわけではありません。 

最近、扁桃腺を取ってステロイド治療を併用する治療法が行われています。国際的な評価は確立していませんが、有効な人もおられるようです。

 尿の色とあわ 

尿の色が黄色いと黄疸ではないかと気になりますが、水分が不足しているだけのことが多いようです。尿検査でウロビリノーゲンなどの物質を調べると、すぐ分ります。


尿の色は様々な理由で変化しますが、薬が原因のこともあります。有名なのは、ビタミンB、生薬のダイオウを含む漢方薬、抗生物質です。糖尿病性神経障害の薬で尿が赤くなる人もおられますが、さすがに赤い尿が出るとギョッとするでしょう。

尿に泡が立つと糖尿病を心配される人が多いのですが、泡は血糖値より水分量などに関係していることが多いと思います。尿蛋白が多い人は泡立つこともあるようですが、あまり確かではありません。

血尿と言うと、尿の色が真っ赤なように思われるかもしれませんが、血液の量が少ない時は見た目では解らないことが多いようです。量が多くなると、最初は赤、やがて暗赤色に変ります。また、ビタミンCを飲まれている人の尿検査では、血尿や尿糖が分らなくなることがありますので、検査を受ける時に注意が必要です。

 

 膀胱炎 

膀胱炎の症状は、頻尿(尿の回数が多くなること)、残尿感(尿が全部出ない感じ)、排尿する時の痛みが代表的です。暑い時期や、寒くてのどが渇かない時期に多発する傾向があります。原因の多くは尿道や血液を介して細菌が入りこむことです。

細菌性の膀胱炎の治療で注意しなければならないのは、中途半端に治療した時に抗生物質に抵抗力のある菌が残ってしまうことです。生き残った菌が膀胱の中で増えると症状が出ますが、数が少ない時には症状がありません。このような方の場合、抗生物質が効きにくくなります。菌の種類と抗生物質への耐性を調べることが必要です。 

普通は3日くらい薬を飲めば症状は消えます。「良くなったから薬は中止しました。」とおっしゃられる患者さんが多いのですが、膀胱の壁に付着した菌の塊には生き残った菌がいるはずです。少なくとも1週間は治療する必要があります。

膀胱の機能障害がある場合は、感染を繰り返すこともあります。菌がいないにもかかわらず膀胱炎のような症状が出る病気もあります。当然ながら抗生物質は無効ですので、菌の確認を怠ってはいけません。





   診療所便りより      平成19年9月