私は昨年、夏バテ予防のために意識的に食事の量を増やしておりましたら、5キロも太ってしまいました。秋からは逆にダイエットしています。


高度の肥満の人には胃の中でバルーン(風船)を膨らませる治療法があります。満腹感を早く感じられるので、半年で10キロくらいも痩せられるそうです。でも、約1%の方に重大な合併症が起こりうるそうですし、バルーンを取るとリバウンド(また太る)があるようです。


やはり私は地道なダイエットに精を出したいと思います。






 防風通聖散、ナイシトール 


お腹の脂肪を減らすと宣伝されている「ナイシトール」という薬は、防風通聖散という漢方薬から作った製品だそうです。 


防風通聖散の効能は色々あるようですが、肥満薬、便秘薬の効果が最も有名です。看護婦さん達は詳しいので、この薬を希望される人が多く、よく処方していましたが、全く無効な人もいますし、便秘だけ改善する人、本当に痩せる人もいます。大まかな印象で、有効率は4割くらいかなと感じています。    


薬に頼って痩せるのは邪道ではないかとも思いますが、現実としては便秘も肥満も簡単な考えではなかなか改善しません。最近の実験結果によれば、肥満の状態が長く続けば、脂肪細胞から分泌される物質の働きによって動脈硬化も進むと思われます。したがって、原則論にこだわって結果的に何も改善しないまま過ごすと、その間に動脈を傷めてしまう可能性があることになります。それならば早めに、特に便秘の傾向が強い人は薬を使ってでも改善を目指したほうがいいのかも知れません。 


ただし、薬を飲んだ分だけ余計に食べるようでは本末転倒です。「今日はたくさん食べたいから、この薬を飲んでおこう。」結構そんな人も多いようですが、食事療法が必要ないはずはありません。   


防風通聖散には副作用もあります。稀ではありますが、肺の炎症(間質性肺炎)や低カリウム血症、肝機能障害などが発生することがあります。もし使われるならば、定期的にカリウム値、血液中の酸素分圧などをチェックするべきでしょう。







平成21年4月 診療所便りより 院長 橋本泰嘉