ベンゾジアゼピン系薬剤   

睡眠剤、抗不安、抗ケイレン剤として使われる薬の中に、ベンゾジアゼピン系と称される薬があります。睡眠剤や向精神薬の中では比較的副作用が少ないと言われ、頻繁に使われています。

当院の採用薬ではデパス、ソラナックス、セルシンが該当します。そのほかにも多くの病院でリーゼ、ワイパックス、セレナール、アタラックスPなどの製品が採用されています。薬剤ごとの特徴はいろいろですが、共通するのは抗不安作用、催眠作用、筋弛緩作用、沈静作用、抗ケイレン作用などで、イライラや興奮には一般的に有効です。 

副作用が少ないと言いましても全くないはずはなく、転倒が増えることや依存性、離脱時の興奮やケイレンは有名です。
参考にすべきデータとしては、認知症の発症に関係するという発表もあります(BMJ2012;345:e6231)。 

これは飲めば必ず認知症になると断言した発表ではありません。飲まない方でも一定の確率で認知症になりますから、その確率が5割ほど増えるかどうかという程度の話です。 認知症になられた個々の方について、薬のせいか自然にそうなられたのか判別はできません。 しかし、少しでも認知機能に影響する可能性があるなら薬の使い方を気にすべきです。可能なら減らすことを考えるべき薬と思います。

ただし薬を減らすよう勧めても、実際に減量に成功する人は多くありません。
既に何らかの依存性がある人、不眠に陥ることを非常に怖がる人も多く、仕方ないから飲むし、病院側も仕方なく処方するのが現状です。  

でも例えば病院や施設に入所された方で、こちらが説明し管理しながら減らす場合は、ほぼ間違いなく減量中止できますから、本当に依存に陥っている方は少ないと思います。 時間をかけて減量すること、一人でではなく誰かと相談しながらやること、一気に半分に減らすような急激な変化は避け、1〜2割程度の微妙な減量に止めることが原則と思います。
     





 診療所便り 平成25年4月分より (2013.04.30up)