心室性期外収縮 


心室性期外収縮もよく見かける不整脈です。脈が一拍ぬけるような感じがする時は、ほとんどがこの不整脈です。この不整脈が全く出ない人はいないと言ってよいほどです。


一拍抜ける時には、実際は抜ける前に形の違う脈が出たために、心臓が再度縮まるまでに少し時間が要るような反応が起きています。 心電図で診断できます。


普通と形が違う脈が発生しています。形が違うのは、「心臓よ縮まれ!」という電気信号のようなものが、通常と違う場所から発生するためです。発生するのが「心室」と言われる場所なので、心室性期外収縮という用語で表現されます。


元気な人に出る場合は、ほとんどが原因不明です。過去に炎症を起こしたりしているのかも知れません。狭心症やミネラルの異常(脱水、薬の副作用)に伴うこともあります。 


通常の場合、治療の必要はありません。しかし、心筋梗塞、心筋炎などの重大な病気の時に多発すると危険ですので、急いで治療を始めないといけません。つまり治療するかどうかは、心臓の状態、期外収縮の発生状況を総合して考えなければなりません。 


運動すると多発するというのは悪いサインです。運動して心臓が虚血気味になることが誘因なら、狭心症に関連していること、将来心筋梗塞の発作や、ひどい不整脈を起こす可能性を示唆するからです。 


逆に、安静にすると多発するのは多くの場合は良いサインです。安静にして始めて気がつくのは、要するに安静にする必要がないようなことが原因だろうと想像できるからです。確認は必要ですが・・。   


頻繁に動悸を感じていても、必ずしも治療しなければならないとは言えません。不整脈の薬は副作用が多く、貧血、肝機能障害、徐脈などの害を生じる可能性があるからです。不整脈が発生するタイミングが将来の危険性を示唆している場合、すぐに連発する場合は治療を考えたほうが良いと言われています。    


長く連発する場合は、心室頻拍という言い方をします。血圧が下がることが多いので救急病院に行かないといけません。


脈がはっきりしなくなるので、心肺蘇生のマニュアルにしたがって一般の除細動器を使おうとしても作動しないことがあります。詳しい理由は分かりませんが、公共施設に設置される一般の除細動の機械は、‘心室細動’という不整脈を中心に設定してありますので、機械が作動しないためのかも知れません。非常に早いリズムの心室性頻拍は感知する製品が多いようです。





診療所便り        平成20年9月