C型肝炎とインターフェロン
・インターフェロン製剤
インターフェロンはIFNと略しますが、炎症の時に免疫の働きを仲介するような蛋白です。今は合成して作られています。商品名は、ペグイントロン、ペガシスなどです。
C型肝炎の治療は、インターフェロンの注射が中心です。インターフェロン自身はウイルスを殺す「殺菌剤」ではありませんが、ウイルスが血液から排除される手助けをします。
治療薬に関する保険の制限が厳しくて、大学病院などの研究機関でしか有効な治療ができない時期がありましたが、最近は制限が緩和されました。自分で注射できる薬剤もあります。
・肝炎ウイルスの検査
C型肝炎のウイルス量と型、そして患者さんの年齢、性別で効果が予測できますので、最適な治療法を選べます。したがって、もしC型肝炎ウイルスに感染していると解ったら、次にウイルスの型や血液中の量などを検査して方針を立てるという手順になります。
C型肝炎の患者さんは、どこでウイルスをもらったのか解らないことが大半です。そして症状はめったにありません。検査をして始めて感染が解ります。肝機能が異常とは限りません。
自分がC型肝炎ではないか?と気になった時に、病院に行って検査しようとしても健康保険を使えないことがあります。これは病院が拒否するのではなく、健康保険を管理する事務所が認めないからです。
定期健診で検査しなさいという考えのようですが、おそらく感染には国がかかわっていますから、積極的な発見を認めないという姿勢はいかがなものかと思います。当院の場合、検査が必要な方には検査会社に支払う実費を頂いております。保険が使える場合もあります。
・治療の概要
インターフェロンは注射薬です。週に1回程度または毎日、皮下や筋肉に注射します。筋肉注射は昔風邪の時にされた記憶があると思いますが結構な痛みがあります。
インターフェロン治療はウイルスの量が少ない場合は半年間をめどにします。また、ウイルス量が多い場合は飲み薬を併用するのが標準です。治療が効きにくいと予想される場合には、1年間の治療が必要になります。
もし、治療後もウイルスが消えていない場合には、その後治療内容を変えてインターフェロンを続行するか別な治療に移行するか決めますが、これは決定的な治療法がないので、専門家と相談したほうが良いでしょう。
飲み薬(レベトール、コペガス)と併用することで、4〜6割の方に有効だと言われるようになりましたが、逆に言うと無効例も多いのが現実です。また、薬の値段が非常に高いことと、治療が長くかかることも問題です。でも放置すれば肝硬変、肝癌になりやすいので、インターフェロンに期待すべきです。
・治療効果の判定
治療効果は、ほとんどの場合はAST(GOT)、ALT(GPT)という肝臓由来の酵素の量が下がるかどうかで判定できます。炎症が治まれば、これらの値も下がることが多いからです。ウイルスの量も検査すると効果を確認できます。加えて肝癌が発生しないか、肝硬変が進行しないか、静脈瘤や腹水が発生しないかなどをエコーなどの画像で判定します。
・副作用
以前は高熱、倦怠感、不眠など、インターフェロンの副作用のために治療を中止せざるをえないことが多かったのですが、注射薬自体の性能も上がって副作用は少なくなりました。ただし、結構あることに変わりはありません。
うつ病のような症状が出て耐え切れないと言われる患者さんを何人か経験しましたが、詳しい理由は解りません。発熱や倦怠感は程度の差こそあれ高率に発生しますが、しばらくすると慣れるのか、同じ量を注射しているのに出なくなる傾向があります。その他の副作用としては肺炎、甲状腺機能異常、リウマチ、貧血、血小板数低下、精神分裂病、眼底出血、脳炎、味覚異常、糖尿病の発生、不整脈などたくさんの種類が挙げられています。
・他の治療薬
他にも治療薬はあります。肝庇護剤と言われる飲み薬や強力ネオミノファーゲンCという注射薬、漢方薬、特殊なアミノ酸などです。いずれも肝炎で肝臓の組織が壊れていくスピードを少し遅らせる、もしくは肝炎の合併症による害を抑える効果を期待できるようですが、ウイルスを退治するわけではないので、治療の脇役といった位置づけです。
平成20年4月 診療所便りより