忘年会シーズンです。満腹になっても太らない薬はないものかと考えたことはありませんか?
海外では抗肥満薬が既に数種類販売されています。中国製の健康薬には、こっそり混ぜて表示していない場合もあるそうです。薬のひとつシブトラミンは、数年前から心臓などへの害が報告され、販売中止になった国もあります。
食欲に作用する薬は、脳の基本的な部分に作用するので、副作用が出やすい印象を受けます。安易に使うのは危険です。
ヘモグロビンA1c値の改定
ヘモグロビンA1cは血糖値の指標で、糖尿病の治療や診断の目安になっています。ところが近年、この値が外国と合わなくなってきたため改定しようということになりました。
もう10年以上も前からですが、病院ごとに値が違うので統一しようと努力がなされてきました。基準を作って病院や検査機関、会社ごとに勝手にやっていた検査の値をすり合わせる作業が続きました。
その際、国際標準と見込んだ基準がアメリカの基準と合わなかったため、国内の値は今の欧米諸国の値より低めに出てしまうという結果になっています。学会の読みが外れたと言えるかもしれません。日本は歴史的に外交下手で、読みを誤る傾向がありますから・・・。
ただし、測定方法として理論上は日本の方法のほうが正確だという意見もありますので、正しい意見が今は採用されなかっただけ、将来は日本の方式が国際標準になるかもしれません。国際的な検査機関が推奨するさらに別な方式もありますので、今の欧米の方式が最終的に残るかどうかも解りません。
当院は今まで日本の基準で測定してきましたが、世界の流れに合わせて切り替えるべきと考えます。そこで、切りの良い来年正月を境に国際標準方式に変えようと思います。
検査方法は同じで、耳たぶから一滴の血液を採取し、結果は6分後に判明します。手から採血しないのは、採血量が少なくて済むので手の血管を必要としないことと、手の血管は具合が悪い時の点滴のために普段はなるべく使わないほうが良いからです。
今後は値が今までより0.4くらい高めに出るでしょう。正月に食べ過ぎて悪化したのか、測定方法の関係か最初は解りにくいかもしれませんが、その後の値の推移を見ながら対処できると思います。
そもそもヘモグロビンA1cの意味合いには個人差があり、互いの比較をしにくい面があります。例えば、「君の値は7%、私は6%だから、私のほうが病状が良い。」とは言えません。その方の値が上昇傾向か下降傾向か、合併症の状況、年齢、血液や腎臓の状況などを総合的に考えないと誤解を生みます。測定値の基準が0.4ほど上がっても、それで治療内容が変わることはありません。
平成22年12月診療所便りより(2010.12.30up)