C型肝炎の内服薬
C型肝炎の治療薬はインターフェロンが中心でした。インターフェロンは注射薬で、熱や倦怠感、うつ病のような精神面の変化といった副作用が懸念される薬です。徐々に副作用の少なく有効性の高い薬剤が開発されて来ましたが、油断はできません。私が担当した方でも2人は精神症状に耐え切れず、治療を中止しました。
今でも副作用に対処するため、最初は入院して水分摂取量や精神面を管理する必要があります。ところが最近は飲み薬が進歩し、注射薬なしで肝炎ウイルスをコントロールできる可能性も出てきました(New Engl J Med2013;368:34-44)(New Engl J Med 2013;368:45-53)。画期的なことです。
実際には飲み薬でも激しい副作用が出ることはあります。文献にも頭痛や吐き気など多くの副作用が出たと書かれていますので、かえってインターフェロンのほうを選択される患者さんが多いかも知れません。人種によって独特の副作用が出て、日本人では全く使えない可能性もあります。
もし飲み薬の治療が主流になれば入院の必要が減り、治療の費用を減らすことは期待できますが、この研究にはスポンサーがあって、いずれも外国の製薬会社ですから、日本での薬の値段を自由に決められません。 おそらく高い値段をふっかけられるのではないでしょうか? インターフェロンも凄く高額な薬ですが、公的な補助がつきますから個人負担は軽減されています。今回の飲み薬に補助が出るかどうかは今後の検討課題です。効果と値段の違いが問題になると思います。
考え過ぎかも知れませんが、飲み薬のほうが安いと解れば、保険組合の財政も厳しいので、公的な補助は飲み薬のほうだけ、インターフェロンは補助から外すといった判断が下される可能性もあります。杞憂だと良いのですが。
平成25年3月診療所便りより (2013.03.31up)