診察室での会話・・・
医者「血糖値が高いですね。間食しませんか?」
患者「いいえ、食べません。」
医者「お菓子を食べませんか?」
患者「ぜんぜん。」
医者「お饅頭を好きだと聞いていましたが。」
患者「え・・ええ、饅頭は今も食べます。」
医者「??饅頭はお菓子では?」
患者「・・まあ、そうとも言えますが。」
CEA
CEAは腫瘍マーカー(指標)のひとつで、癌の治療経過を追う時に使います。前立腺の検査のPSAとは使い方、解釈の仕方が微妙に違います。以前から有名ですので人間ドックで検査されている場合がありますが、ほとんどの人は正常値を示しますし、高いから必ず癌があるわけでも、低いから癌を否定できるわけでもありません。「それなら意味がないじゃないか?」と言われれば、確かにそう言えます。
腫瘍マーカーと言われる検査項目は、多少の差はあれ、どれも似たような傾向があります。検査で異常なら必ず癌があるとは言えないし、検査が正常でも癌がある場合はある、ただしその確率を考えると検査の意味が多少あるという傾向です。検査するかどうかは、癌における陽性率、陰性率、費用などから検査の意味をよく考えないといけません。
CEAの場合は、癌でなくても肝硬変や甲状腺機能低下症、ヘビースモーカーの人で上がる場合があります。悪性の病気であっても、例えば白血病ではまず変化しませんし、比較的陽性に出ることが多い大腸癌でも半分くらいの人は正常値を示します。
でも手術や放射線治療を受けた癌の患者さんの経過を見る時には、この検査は非常に便利です。再発や転移をすると数字が変化することが多いので、再治療をすべきかの判断材料になります。それ以外の使い方で、例えば健康診断のついでに検査しても、診断に関してはあまり意味がないでしょう。ドックの項目としても考えものだと私は思います。
特殊な場合を除いて、あえて望んで受ける必要のある検査とは言えないようですが、もちろん全く無意味な検査ではありません。CEAの異常からいろんな検査をして癌を発見したことも何度かあります。一般には治療の指標であって、診断の指標になりにくいだけです。 もし偶然検査されて値が非常に高かった場合は、さすがに最新のMRIやCTを含めた検査も考えられたほうがいいと思います。
病院は、それを考えて検査を勧めるのかも知れませんが。
診療所便り 平成21年3月より 院長 橋本泰嘉