コロナの感染者数はなかなか減りません。行動制限が緩和されている上に、ウイルスの株が変異し、ワクチンの効果も長続きしないので、防ぎようがないのが理由でしょう。ワクチン反対派の活動も影響したかも知れません。
でも、感染した方が一定の割合を占め、感染に注意する意識も復活し、今後優れたワクチンも使えるようになれば、流行は散発的になるはずです。「コロナ後」の世界も、見えてくるのではないかと思います
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 換気の重要性  

海外旅行をした方によると、国外ではマスクをしない人が多いそうですが、店は換気に気をつけていて、入り口や窓が開けっ放しだったそうです。空気がこもらないことは、感染予防では大事と思います。 

当院は各診察室に換気扇をつけ、しかも空気の流れる方向を調整しています。コロナの流行を予見していたわけではなくて、風邪やインフルエンザの診療に際しては、常識で考えて換気が必要と思ったからです。 

開業の時は、保健所からさぞ褒められるだろうと期待していましたが、ろくに見てもくれませんでした。おそらく当時の保健所のマニュアルでは、換気の重要性が強調されていなかったのではないかと思います。手洗いに偏った指導内容でした。 

一般の病院では、インフルエンザの患者さんも血圧の患者さんも、仲良く待合室で過ごされています。でも当院は、そんな状態は常識では考えられない、待合室で感染させたら申し訳が立たないと思いました。

当院では開業当初より、感染症の方が来られた時には、別室でお休みいただき、待合で他の方と接触しないように努めております。ただし、そんな私達の医院でも、院内の患者同士で感染させたことが全くないと断言はできません。

感染症対策を完璧にこなすことは難しいので、やれることをやって、それにより少なくとも一般の施設よりは、衛生面で安全だったはずと考えるだけです。コロナの流行を経て考え直してみると、病院を受診することは、実は結構危ない行為だったのだろうと思います。  

換気の意義についての認識は、誰もが不足していたはずです。 患者も医療機関も、行政もそうです。建築関係者、教育関係者、御家族の認識も酷いものでした。換気扇のない場所で過ごすなんて、怖ろしいことだと思います。 

コロナの流行で、皆さんの意識もかなり変わったのではないでしょうか? 御自宅でも、気温や蚊の侵入に気をつけながら、換気に気をつけて下さい。誰がウイルスを持ち込むか分かりませんので。
 


 空気感染に関する統計  

換気は感染予防のために重要だと思いますが、その根拠となる研究結果は、出ているのでしょうか?海外の医学雑誌に新しいまとめが発表されています(BMJ2022;377:e068743)。  

空気感染では、空気中を病原体が浮遊しますので、アクリル板などを乗り越えて、離れた席にいても感染することになります。コロナウイルスが空気感染を起こすかどうか、当初ははっきりしませんでした。

東京大学などがシミュレーション実験をやっていましたが、実際の臨床現場で、感染が飛沫や接触によるものか、空気感染によるものか、区別することは困難ですので、明確な証拠はないと思います。  

現状を見ると、おそらく空気感染は起こっているはずです。この論文でもレストラン、職場、コーラスの会場などでは空気感染が起こっていて、換気不足が関係していると結論付けられています。

ただし、その根拠はかなり曖昧なようです。何メートルの距離で感染するか、換気の能力でどの程度感染率が違うか、具体的な統計値を提示してはいません。 これでは換気をしろと言っても、数値を用いての指導は困難です。 

提示が難しい理由は、人体実験で直接調べることができないことや、ウイルスの変異で状況が変化すること、お店の条件を一定にできないことなどによると思われます。今の時点では推測、常識的な理屈によって対策を考えるしかありません。  

換気するにしても、暑いので限界もあります。何分ごとに窓を開けることが必要と具体的に言うことは難しいので、皆で話し合って、工夫するしかありません。
       


診療所便り 令和4年8月分より・・・(2022.07.31 up)  

   



 
          

 

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