ウクライナや中東の紛争は長引きそうです。ニュースを観ていると気が重くなります。一般の市民が情け容赦なく爆撃を受け、家を追い出され、水や食料を心配し、人質にされるなんて無茶苦茶です。
でも宗教や国のあり方が関わっているので、早期の解決は難しそうです。できれば戦争や紛争は避けたいので、国連がもっと機能すると良いと思いますが、今の仕組みでは大国の思惑に引っ張られて解決策を出すことができません。そして国連改革も簡単ではなさそうです。 
とりあえず、今日の私達が爆弾やミサイルを怖れずに生活できることに、感謝したいと思います。
  

 不活化コロナワクチン  

コロナの流行が始まった頃、国産ワクチンは2年くらいでできると言われていました。でも、開発が中断されたりして、期待外れの結果になっています。熊本市のKMバイオロジスク製コロナワクチンの開発も遅れています。12月から最終治験だそうです。今までのワクチンは副作用が多いので、従来型の不活化ワクチンが欲しいところです。

イランで従来型の不活化ワクチンが開発されました。経済制裁を受けているため、自力での開発に力を入れたのかも知れません。その効果が発表されました(BMJ2023;382:e070464)。     

症状が出る確率は、ワクチンによって約半分に低下し、強い症状の出る率や生死に関わる重症の率を三分の一以下に減らしています。そして接種者1万人強で死亡者はなく、重篤な副作用もなかったようです。

ただし、効果はウイルスの株によって変動しますので、鵜呑みにはできません。現時点や今後のウイルス株では効果が下がる可能性があります。 国産のワクチンに同じような効果があるとも限りません。 

イランにできて日本でできなかった理由は不明ですが、日本の感染者数がしばらく少なめだったこと、ファイザー社などとの競争に負けて利益が望めなかったこと、そして政治的密約や、各企業の経営的判断に問題があったのかも知れません。

ワクチンで国民や人類を守ろうという崇高な目標より、開発で赤字を出したくない、輸入の遅れで批判されたくないという思惑のほうが勝ってしまったのではないかと疑います。使命感が感じられません。

もっと早く開発できるように、国からの支援が必要ではないかと思います。コロナ禍への経済対策予算は、ワクチン開発予算とは比較にならない大盤振る舞いでした。予算の効率を考えると、ワクチンのほうが安上がりです。   

不活化ワクチンには歴史があるので、今までのコロナワクチンより安心感があります。副作用はあるとしても、インフルエンザワクチンと同等なら対処は可能です。来年以降は、国産ワクチンで一定の予防が可能となり、大流行が来にくくなると良いなと思います。


 抗肥満薬の経済性 

アメリカでは抗肥満薬が認可されています。その費用対効果が検討されました{JAMA Network Open2023;6(10):e2336400}。    

抗肥満薬は、米国の価格で年間の薬代が20~80万円くらいですので、保険が効くとしても安くはありません。使うなら効果は確実であって欲しいものです。費用効果は、フェンテルミン・トピラマート合剤が最も高く、ビクトーザ、リベルサス、ゼニカルといった他の薬は割高でした。  

実際の減量効果は、ほとんどの場合が体重減少10キロ未満です。数十万円かけて10キロ程度なら、私だったら薬を飲まずに根性で食事制限しようと思いますが、世の中にはお金に余裕があってサプリメント好きの人もいますので、薬の需要はあるようです。

日本でも飲んでいる人は多いと報道されています。健康被害が出ているようです。食事制限は辛いので、我慢を必要とせず、自然に食べたくなくなるサプリメントがあれば楽に痩せられるだろうと思うのも理解できます。    

抗肥満薬は嘔気、気分不良の副作用が出やすく、急性膵炎や腎障害を来たす場合もあります。気軽にネットで購入する類の薬ではありません。劇薬の一種と考えたほうが良いと思います。でも上手な文句で、食事制限や運動が要らないとか、有名な専門家が推奨していて、あたかも副作用がないかのように謳って売り込む業者もいるようで、注意が必要です。
      


診療所便り 令和5年11月分より・・・(2023.10.31 up)  



 
          

 

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