alt="バックボタン”

コロナワクチンの予約では、御不便をおかけして申し訳ありません。当院の職員数では、一度に多数の方の接種をすることはできません。ワクチンの供給量も不明でしたので、市役所を通じての予約にするしかありませんでした。 
当初は市の予約システムに様々な不具合、混乱がありましたが、徐々に仕組みが動き出して、接種も進みつつあります。
今回は、パソコンやスマホの扱いに慣れない方が不利な立場に立たされました。今後は、予約の方法を整備する必要があると思います。少なくとも半年前くらいには訓練をして、問題点を洗い出して欲しかったと思います。   
そもそも、ワクチン製造や予算の使い方も考え直すべきです。国産ワクチンがないこと、保存や運搬に困る製品しかないことが、今回の混乱の原因です。
コロナのような感染症が起こった時にどう対処するか、予測する頭がなかった点も、混乱の根本原因と言えるかも知れません。  
 


 心房細動への治療戦略    

不整脈の一種である心房細動は、脳塞栓や心不全などをひき起こすため、治療が望まれます。韓国人を対象に、心房細動の方達に脈拍を遅くする治療をするか、あるいは脈のリズムを整えて正常化するかで成績を比較した調査が行われました(BMJ 2021;373:n991)。    

この種の統計は初めてではありません。毎年のように、各国で調査が行われています。脈拍を遅くすると血のよどみが減るため、血の塊ができる頻度が減ります。いっぽうで脈拍を正常化すれば心臓の動きは元に戻り、血の塊ができる頻度は格段に減るはずです。

脈拍の正常化に、どの程度こだわるべきかが重要です。一般に、心房細動を発症してすぐなら、脈拍を正常化させたほうが良いのではないかと言われています。この調査でも、発症して1年以内の方達に限れば、脈拍を正常化させたほうが心臓血管病や脳梗塞、心不全などは少なめでした。

ただ、その差はかなり小さく、100人の患者の中で1人分の差が出るか出ないかといった微妙な違いに留まっています。脈拍を正常化しても思ったほど効果が出ないのは不思議ですが、どの国の統計でもおよそ同じ結果が出ていて、脈が正常になった後も、薬を止めると危ないと言われています。

脈拍を整える治療は、発症早期の方にとっては意味がありそうですが、かなり慎重に考えるべきと思います。1年経つと脈拍を抑えるだけの治療と大差なくなるので、微妙な違いにとらわれて多大な費用をかけ、カテーテル操作や薬の副作用で患者さんを危険にさらすのは問題です。心房細動に限れば、抗不整脈薬を長期間続ける意味も、ほとんどないと考えられます。    

心房細動では血液の固まり具合を抑制する治療も必要です。それによって、塞栓の発症を少なくすることができます。ただし、副作用で出血を起こす危険度は、なかなかゼロにはできません。比較的新しい薬でも、脳出血や下血、吐血を起こす方はいます。 

薬の値段も問題です。効果に見合った価格というものがあるはずですが、1錠で500円を超えるような薬では、価格が効果に見合わないと思います。 年間何人の患者さんを救えるなら薬の価格はいくら、といった費用対効果で判定すべきです。今は役人の方が密室で価格を決めているそうですが、不正行為がないとも限りませんので、決定までの経緯を公表し、適正化すべきと思います。 
 



 イスラエルにおけるコロナワクチンの効果   

イスラエルは独特な国で、防衛に関する意識が高く、ワクチン接種にも積極的です。ワクチン製造会社と交渉して、早期の確保に成功したそうです。同国のある施設で、全職員を対象にした調査でコロナワクチン接種の効果が判定されています(JAMA doi:10.1001/JAMA.2021.7152)。   

新型コロナ感染者の中には、症状の出ない方が数割います。症状がないと普通は検査しませんので、感染したかどうか分からないままになり、ワクチンの効果も正確に把握できなくなりますが、この研究では全職員を繰り返し調べたので、効果をかなり把握できると思われます。

症状のない方の感染率を、接種しない場合と比べ、接種後は16%程度に抑えられたようです。症状の出た方にいたっては、感染を3%程度にまで抑え込めました。ワクチンには相当な効果があると考えられます。 

今日の時点で、感染を確実に判定する手段はありません。PCR検査でも正確な結果が出ない場合はあるので、今回の数値が絶対的な効果を示しているとは限りません。感染を減らす傾向があると言えるにとどまります。  

このような調査は、流行や人々の活動の具合、ウイルス変異にも左右されますので、この結果がそのまま今の日本で通用するとは限りません。 日本では、政府自治体の対応のまずさや、予防接種に対する国民の先入観の影響もあって、おそらく接種がなかなか進まないでしょう。

接種率が低いと感染がくすぶり、流行が長引いてワクチンの効果を下げる結果になるかも知れません。でも、理屈通りの感染予防効果が出た国があることは、我々に勇気を与えてくれる結果だと思います。   

効果は分かっても、実際に接種し、副反応に対処しないと話になりません。ワクチンには一定の割合で害がついて回るはずです。長期的な害も分かりません。アレルギー体質の人に無理に接種するのは危険ですし、我先にと争って予約し、大急ぎで接種する必要もありません。でも社会の安定化のためには、接種を拡げることが望ましいと思います。私達も社会貢献と考えて協力するつもりです。  
         


診療所便り 令和3年6月分より・・・(2021.05.31 up)