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明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
報道によると、注文したお節料理が届かなかった御家庭があるそうです。おそらく材料価格の高騰や人員不足が関係したのでしょう。
予約された方達は怒り心頭だったと思いますが、正月から開いている店も多いので、なんとか対応はできたはずです。  
私の体は「ロッキー」でできていると言っても過言ではありません。それくらい、坪井の店を利用させてもらっています。今年も2日から営業してくれて、本当に助かりました。
   


 薬の流通に関して 

ここ数年、薬剤の流通が混乱しており、必要な薬でも手に入らなくなっています。混乱の原因は製薬会社の不正や、それに対する政府の対応、原材料価格の上昇などと言われています。

インスリン製剤のリスプロBSやオゼンピックという注射薬は入手不能のため、既に変更させていただきました。インスリンの変更は避けるべきですが、製剤がないなら仕方がありません。

今度は狭心症の薬ジルチアゼムが不足して来ました。薬の変更で狭心症発作の回数が増える可能性はあります。重要な薬が手に入らないのは問題です。国の責任は大きいと思います。

皮膚湿潤薬のヘパリンクリーム、漢方薬、胃薬、咳止め、抗生物質、利尿剤、湿布薬なども次々と品不足が出ていて、問屋と交渉しながら対応をとっているところです。でも対応に限界はあります。インフルエンザやコロナと診断がついても、薬がないので我慢してくださいと言わざるを得ない状況もありえます。

そんな事態が起こらないように、国は頭を働かせ、必要な流通量を予測し、製薬会社に補助金を出したり税金で優遇したりして、危機に備えるようにすべきだったと思いますが、どうも薬の問題はあまり重視されていないように感じます。

薬の不足は、病院にかかった時しか分かりませんので、一般の人が普段から注目することはありません。選挙の票や役人の出世にも関係しないので、後回しにされる傾向があるようです。ただし、そのような状態で次のパンデミック、大きな紛争や災害に対処するのは無理でしょう。  


 糖尿病治療薬と膝の痛み  


セマグルチド(商品名ウゴービ、オゼンピック、リベルサス)は食欲を抑え、体重を減らし、血糖値を下げる効果があります。この薬の膝関節への影響が発表されました(N Engl J Med2024;391:1573-1583)

ダイエットと運動の指導を受けた方々が試験に参加しました。治療開始68週後の時点で、参加者の体重は14%程度減っていました。膝の痛みの程度は、およそ半分くらいに低下しており、おそらく体重減少の効果ではないかと思われます。 

また米国では類似薬のチルゼパチド(マンジャロ)が、閉塞性睡眠時無呼吸の治療薬として認められました。これも作用は同じで、肥満の軽減が作用したのでしょう。薬剤が直接膝や呼吸を改善した可能性も残りますが、単純に考えるかぎりでは肥満の改善が主要な作用と思われます。

薬の使用量や体格、体質は、国内と海外では違いますので、この研究結果がそのまま日本で再現されるとは限りません。「オレは膝が痛いから、糖尿病の薬を出せ。」「イビキも酷いので、薬をちょうだい。」と言われても、自由には出せません。

でも、この薬の効果は頭に入れておいたほうが良いかも知れません。膝の痛みに対する痛み止めやヒアルロン酸の効果は限定的です。無呼吸に対するCPAP治療は、寿命を延ばす効果がはっきりせず、どれくらい患者に勧めるべきかが曖昧です。視点を変えた対応が必要かもしれません。

ただし、これらの薬剤は値段が高い上に、これまた流通量が不足しています。 



診療所便り 令和7年1月分より・・・(2024.12.31 up)