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8月末からコロナの新規感染者数は減少傾向に転じたようです。 
変異して感染力が強いと言われているデルタ株でも、どうにか流行を抑えられることが明らかになりました。流行り病に対しては、ワクチン接種や行動制限が重要だと、あらためて感じます。  

でも、さすがに自粛生活には飽きました。以前のような生活を恋しく思います。たまにでもいいから、外食や旅行に行きたいものです。  
人が多い所で自由に行動している人を見ると、呆れたり怒りを覚えたりします。考え方が少し違うだけで、自粛への対応も様々です。   

いつ頃になれば気兼ねなく行動できるようになるのかは分かりません。新規感染者がゼロになるのは当分先のようです。それまでは人に迷惑をかけないよう、我慢しないといけないと思っています。  
 


 抗精神薬と転倒  

もし薬によって何かの後遺症を残したり、寿命が短くなるなら、たとえ一時的に体調が改善しても、その処方には道義的問題があります。薬を使うからには、副作用に関する正しい認識を持たないといけません。   

向精神薬や認知症の薬で、転倒や転落が増えるかを検討した報告が出ました(BMJ2021;374:1925)。年間で8%台だった転倒事故が、薬を使うと9.5から10.55%程度に増えるようです。 

向精神薬、眠剤、頻尿の薬などでふらつき、転倒が増えることは、それぞれの薬の添付文書にも書いてあります。脳や神経に作用する薬は、全般に転倒の危険度を上げると予想されますので、意外な結果ではありません。いっぽうで、薬を使わないと生活できない場合、止めるのは無茶な話です。  

この試験でも、薬を急に止めた期間が最も転倒する率が高く出ていましたので、抑制していた薬を除くことで過活動状態になり、転倒事故を誘発したか、急な変更が状態の悪化につながった可能性があります。  

介護施設で徘徊する老人をそのまま放置すると、転んで怪我することが多いので、なんらかの投薬を必要とするのは現実です。でも処方によって、逆に転倒の危険度が増すとなると、どうにも対応が難しくなります。急に薬を止める、急に強い薬を出すなど、変化すること自体が事故を生む印象も受けます。  

問題は、処方が妥当かどうかです。有効性と害を正しく認識する必要があります。 向精神薬が効きすぎて、寝たきりを助長したと疑われる例は少なくありません。暴れないが、寝たきりにならないという微妙な状態を目指さすべきと思います。  

アルツハイマー病の薬や頻尿の治療薬にも結構な副作用があります。これらは神経伝達物質のアセチルコリンに作用する薬剤が多く、全般にふらつきや消化器症状が出やすい性格を持ちます。転倒事故の増加にも関係しているはずですが、処方されて飲んでいても、認識されていない方が多いと思います。 

薬が必要になったら専門家と相談しながら治療すべきです。ただ、専門家でも対応が難しい例は多いように見受けられますし、医師や薬剤師の説明で、副作用を充分理解できる人も少ないでしょう。 

処方する側は患者さんが転ばないように、繰り返し注意すべきですし、もらう側も御本人、御家族が転倒の危険性を認識しておくことが必要です。            


 コロナワクチンの副反応発生率   

コロナウイルスのデルタ株は感染力が強いと言われています。デルタ株に対するワクチンの効果が検討されました(NEJM2021;385:585-94)。

ファイザー社の製品の場合、従来株での有効率94%が、デルタ株では88%に低下するという影響はあるものの、普通に表現すれば有効であり、効かないという表現はあり得ない結果でした。  

デルタ株が拡がりだした頃、週刊誌などではワクチンが無効という記述も見かけましたが、あれは勘違いだったようです。ただし、接種しても感染する人は出ていますから、ワクチンだけで感染を制御できないことも確かです。  

ワクチン接種率の高いシンガポールでも、感染者はゼロになっていないそうです。シンガポールは特殊な国で、通商の中心地ですから活動も活発で、人口も密集しています。そのような感染しやすい場所では人の移動を制限し、マスク着用を続けないと、ワクチンの効果をすり抜けて感染するはずです。2回のワクチンだけで感染を防ぐのは難しいと考えるべきでしょう。  

3回目のワクチン接種の効果についても検討されています(DOI:10.1056/NEJMoa2114255)。イスラエルの高齢者限定の試験でしたが、3回目の接種の追加で、2回接種と比べて感染率は11.3%に、重症化率は19.5%に、それぞれ下がっていました。

この試験の結果がそのまま日本で通用するとは限りません。また、年代が違う人では結果も異なる可能性もあります。
イスラエルはファイザー社と特殊な契約をしており、会社に有利な結果を出そうとする可能性もゼロではありません。ただ、おそらく接種を追加する意味はあるように思います。年末から日本でも始まるようです。   

接種によるアレルギー反応の危険性に関しても新しい報告(JAMA Network Open.2021;4(8):e2122255)が出ています。アレルギー体質の方を選んで接種しても、事故は滅多に起こっていないようです。危険性が全くないわけではありませんが、情報が足りなかったので、過剰に怖れていたようです。        
  




診療所便り 令和3年10月分より・・・(2021.09.30 up)