気がつけば、令和も既に5年目を迎えました。
コロナへの対応で振り回され、行動の自由がなくなり、今までのところ、令和は明るいイメージの時代ではありません。ウクライナでは戦争が続いていますし、物価は上がる、半導体は不足、薬の供給にも混乱が続き、右往左往するばかりです。  
でも、嘆いても仕方ありません。流行は続くとしても、この世の終わりじゃないのですから、なんとかなると思います
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 薬の費用対効果  

スポンサーが付くと、その意志が結果に影響する傾向があります。治療の分野では、同じ効果を得るために、スポンサー付きの治験法のほうが薬代が高いという統計もあります。   

糖尿病の薬(SGLT2阻害剤)を心不全の治療に使うのが近年の流行りです。SGLT2阻害剤は、余分な血糖を尿に排出し、代謝の負荷を軽減するとともに水分も排出するので、循環系の負荷も軽くなり、腎機能が長持ちする傾向もあります。有名な教授たちも、その効果に期待していると述べていて、医学雑誌などで紹介されます。 

そうすると、そんなに良い薬ならと、開業医も勤務医も使おうとします。普通の利尿剤を使ったほうが良くないか?と単純に思っていましたが、費用面については、どうやらそのようです{JAMA Intern Med 2022;182(12):1278-1288}。米国内の価格で言うと、調査対象となった薬は、ある方が入院などせずに健康な1年間を得る効果のために、50~70万ドルを要する計算になるそうです。  

この薬に効果がないという意味ではありません。糖尿病の方はもちろん、糖尿病でない方でも、循環系の状態が改善して、多くの場合は良い効果を期待できます。 ときに脱水の影響でかえって腎機能を落とす方、直接腎臓に障る方、尿路感染症を増悪させる方もいますので、万能薬ではありませんが、対象者を選べば、良い薬と思います。 

ただ価格面の欠点があるのに、使われ過ぎている印象もあります。人が助かるのは良いことですが、費用を度外視するのは問題です。宣伝に踊らされて、患者さんに不要な金銭負担をかけないように注意したいと思います。 
  



 マスクの感染予防効果 

私達はほとんどの時間、マスクをつけて生活していますが、効果を明確に認識できているわけではないはずです。なんとなく怖いから着けているだけでしょう。感染も怖いし、マスクを着けていないことで批判されるのも怖いと感じます。 

アメリカのボストンで、マスク着用義務を解除した学校と、着用義務を続けた学校のコロナ感染率を比較した結果が発表されました(N Engl J Med 2022;387:1035-46.)。    
大流行の時期には、マスクをしていても感染者は増えますが、マスクの着用者の感染は、マスクをしていない人に比べ1/3から半分程度でした。15週間の累計で、100人につき45人は、マスクをしないことが理由で感染した計算になります。この数字を見ると、マスクだけで安心はできないが、かなりの効果は期待できる、そう思って良さそうです。 

ただし、この結果がそのまま日本で通用するとは限りません。 この統計は、米国の学校に限定されたもので、日本の学生は全く違う環境下にあるかも知れませんし、社会人の場合はさらに条件が異なる可能性もあります。それに自主的に着用する人もいますので、着用義務と実際の着用率とは乖離している可能性もあります。部屋の広さや換気の配慮によっても結果は大きく違うはずですので、あくまで参考資料に過ぎません。

海外の報道をみると、マスクを着用する人は凄く減っているようです。 日本ではもともと着用する人が多かったので、海外より長く使い続けるだろうと思いますが、積極的に着用を推奨すべき時期がいつまでなのか、外しても白い目が向いて来なくなるのはいつか、そこは分かりません。



診療所便り 令和5年1月分より・・・(2022.12.31
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