紅麹サプリメントで健康被害が発生した理由は、混入したアオカビから産生された「プベルル酸」などが腎臓に悪さをしたらしいと政府から発表されています。
プベルル酸という名前は聞いた記憶がありませんでした。 患者さんから紅麹サプリメントを飲んでよいか尋ねられたら、たぶん知らずに「発酵食品は体に良いので、使って構わない。」と返事していたでしょう。  
発酵製品の製造過程で雑菌が全く混入しないようにするのは難しいはずです。今までたまたま問題点に気づいていなかっただけのようです。
雑菌の混入を想定し、害が出ない程度に洗浄、消毒、定期検査をしていくしかなく、行政の管理体制を見直すべきでしょう。
機能性表示食品というくくりを設けたことも、今回の被害の誘因と思います。政府にも責任はあるでしょう。 
   


 SGLT2阻害剤の効果  

糖尿病の薬の中で、SGLT2阻害剤という分類の薬が高い評価を受けています。当院の場合はスーグラ錠とフォシーガ錠が該当します。 ちょっとした流行のように調査結果が次々発表されていますが、たしかに効果はあるようです。 

英国での調査結果が発表され(BMJ2024;385:e077097)、血糖値を下げる効果、心不全や腎臓病、体重減少にも良い作用がありました。 同様の報告が続いているので、優れた薬であることが分かります。 

ただし注意点はあります。 まだ人体への長期的な影響が不明なこと、人によっては逆に血糖値を上げる場合もあり、向き不向きに注意しないといけないことなどは忘れてはなりません。 

SGLT2阻害剤は尿に血液中の糖分を排出させる薬で、尿量が増えるため、脱水を起こします。夏場は水分を補わないと危険です。過剰に痩せたり、尿路感染症、発疹、腎臓への直接の害などが出る場合もあります。

2型糖尿病への第一選択薬はメトホルミンで、SGLT2阻害薬が第二選択くらいに位置すると考えられますが、注意点も多いので、あまり安易に処方する薬ではないはずです。 常識的に考えれば季節によって調整する必要もあるはずですが、その点に関しては製造元から強調されていませんので、副作用に気づかず処方が続けられるかも知れません。 

薬に注目が集まり、発表が続いていることで、病院側も流行を意識して処方に前向きになり、処方される件数が増えているようです。慎重さを欠いた処方例もあるように思います。最初に飲む時に試し試し飲むこと、気温による調整、皮膚炎や尿の色の変化、混濁の有無、膀胱炎症状の有無などに注意する必要があります。
       


 コロナ後遺症とワクチン  

今年の春以降、コロナの患者さんは減りました。当院に来られる感染者は、最近は週1~3人程度です。罹った方の症状も以前と比べると軽くなり、全般的に言えば普通の風邪と同じくらいで済んでいます。

でも昨年までに感染した方の中で、後遺症を訴える方は今でもおられます。1年以上も辛い思いをされているようで、お気の毒です。倦怠感がひどくて職場に復帰できない方もおられます。   

コロナの後遺症への特効薬は開発されていません。症状に応じて治療を試す、仕事のペースを落とし、無理をしないといった生活の工夫が対処法です。ワクチン接種が後遺症の予防に効いていた可能性はあります(BMJ2023;383:e076990)。 罹患率や重症度を下げれば、後遺症も軽くて済む傾向はあるようです。ワクチンが唯一の予防法かも知れません。    

この秋以降に、定期的にコロナワクチンを接種すべきかどうか、今の時点では判断できません。 先行して接種した海外からの報告がないので、判断材料に乏しいからです。定期接種をしない国が大半ではないかと思います。  

今は日本人の5~6割の方が免疫を持っていると言われています。今後の接種を希望する人は少ないと予想しますが、誰も接種しないと、徐々に集団としての免疫が低下して大流行を生みかねません。いっぽうで、軽症者が多い今の状況で、接種による効果がどの程度期待できるのか、ちょっと曖昧な気もします。     

副作用が少なめと期待される不活化ワクチンの開発が遅れているのも、大きな問題です。不活化ワクチンなら、副作用の予測もできます。対策の決め手かも知れません。でも政府の対応は妙で、開発を促進する手は打たないようです。政府と海外メーカーとの間には密約がありそうで、既に輸入契約が済んでいる可能性があります。それが理由かも知れません。
   



診療所便り 令和6年6月分より・・・(2024.05.31up)  



 
          

 

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