今年の野菜価格の高騰には困ります。私はおそらく普通の人の数倍量、どんぶり単位で野菜を食べますので、エンゲル係数がかなり上がったはずです。 
大根もキャベツも一個300円が当たり前でしたから、もはやサラダは高級品です。高級食材として例年より味わいながら、有難く頂戴しています。
今やっと値段が下がり傾向ですが、梅雨や猛暑で再び高騰しないかビクビクしています。自分で作れればいいですが、畑の管理は難しいでしょう。
農作物ですから多少の変動は仕方ないでしょうが、気候以外の何か人為的な要因がないのか、気になります。      



 パルスオキシメーター 

パルスオキシメーターは、動脈血の酸素分圧(SpO2)を測る機械です。血液中の酸素濃度を推定し、呼吸状態の目安として使います。   

指をクリップで挟むと自動的に測定を開始し、外すと自動で電源が切れるものがほとんどです。若くて元気な人では98%くらい、高齢者だと96~97%を示すことが多いようです。コロナやインフルエンザの患者さんは低めに出る傾向があります。気道の炎症を表すのかも知れません。 

測定器具は1970年代に日本で開発され、90年代には一般病棟でも使われるようになり、2000年代以降は小型化して、値段も安くなりました。今は通信販売で簡単に買えます。1万円以下が主流です。機械によって若干の性能の違いはありますし、不整脈をお持ちの方では脈拍を上手く拾えず、数値が出ない場合もあります。 普段、使わない時は中の電池を外しておられたほうが長持ちすると思います。 

コロナの症状が激しかった時期は、保健所が感染者に対して貸してくれました。当院も多数購入し、リスクを持つ感染者にお貸ししました。借りたまま返さない方もいましたが、命の危険がかかる病気ですから、それも仕方ないと覚悟していました。呼吸状態を把握できるかどうかで、罹患者の安心感は大きく変わります。 

9割くらいの方が返却されましたので、返却率は悪くありませんでした。ほとんどの方から丁寧に御礼の言葉をいただきました。金銭的にはずいぶん損しましたが、お貸ししたことで、当院が果たすべき社会的責務の一部を遂行できたはずですし、当院の心意気を示せたと考えます。
     


 エイコサペンタエン酸 

エイコサペンタエン酸は、魚の油などに含まれる脂肪酸で、医薬品にもなっています。効能は閉塞性動脈硬化症、脂質異常症で、中性脂肪やコレステロールの値を減らすことがあります。血液の成分である血小板が凝集するのを抑制する効果が知られ、血管の詰まりを防ぐ効果も期待できるため、心臓病への効果が期待されました。  

2007年の日本の研究で、この薬は心血管に有効と発表され、処方量が増えました。いちど心筋梗塞を起こされた方の場合は特に、今でも多くの病院で処方されているようです。でも、その発表をよく読むと、劇的に効くと言えるほどの明らかな差が出たわけではありませんでした。海外では汎用されなかったようです。

効果が微妙なものを患者さんに勧めるのはモラル的な問題がありますので、私も自分から患者さんに勧めることはしませんでした。  

今年、日本から新しい発表がありました(
Circulation. 2024;150:0000. DOI: 10.1161)。エイコサペンタエン酸は、冠動脈疾患に必ずしも有効ではないようです。ただし、大きな害は出ていなかったので、使ってダメとも言えない印象です。経過を追ったグラフを見ると、必ずしも無効と言い切れません。統計をやり直せば、有効性が証明されるかも知れません。    

ただ、いずれにせよ微妙な効果ですので、当院では今までと同様、積極的に患者さんに勧める薬ではないと考えます。病院によっては強く推奨している所もあるので、希望される方には処方していますが、効果に過剰な期待はできないと思います。 



診療所便り 令和6年7月分より・・・(2024.06.30up)  



 
          

 

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