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スマホは非常に便利な道具で、何かを調べる時には重宝します。今後はAIがどんどん進化して、依存度が高まるでしょう。
ただ、スマホで幸福になるとは思いません。便利なだけです。若い方にはスマホ中毒と思える方も多く、時間を無駄にしている気もします。人類レベルで壮大な無駄をやっていると考えると、むしろ有害な技術と言えるかも知れません。便利さは利用し、害を避けるようにすべきでしょう。 
人に幸せをもたらす技術は、下に紹介するようなものと考えます。簡単に確立できるものではないはずですが、研究は徐々に進んでいるようです。
    


 心筋細胞移植  

IPS細胞を使った移植の技術はさかんに研究されています。網膜変性症に対する治験には注目が集まっています。でも確実な効果が得られるレベルには、まだ達していないようです。    

心筋の細胞と膜の細胞をIPS細胞の技術を使って生成し、それを1枚のシートに合成し、心筋梗塞で損傷した心臓に貼り付けたらどうか、そんな研究も進行中です(
https://doi.org/10.1038/s41586-024-08463-0)。    

動物実験の段階では、正常な心筋のように収縮する細胞を作ること、シートを形成し、心臓に植え付けることは可能なようです。シートが心臓に生着した様子が報告されています。心臓の収縮力を回復できるか、剥がれ落ちたシートが害を起こさないかなどが問題です。 

正常な心臓では左心室を作る筋肉の場合、厚さが1センチ以上あり、一枚のシートとは収縮力も丈夫さも違うはずですので、今の技術ではあくまで損傷した部分の補助しか狙えないと思います。心不全を一気に解決できるまでには、あらたな発想が必要でしょう。筋肉細胞だけを分厚くなるまで成長させることができるのでしょうか? シートを数十枚も重ねる? どんな方法があるのか、ちょっと想像できません。 

また、費用面も気になります。細胞を作るためには相当な費用がかかり、医療費が嵩むことは間違いありません。いかに優れた技術でも、財政を破綻させて使うことはできません。IPS技術など使わず、コレステロールの薬を飲んで予防するほうが財政的には正解ということもありえます。  

でも技術が進めば、心筋梗塞を発症したら直ぐにIPS細胞の作製を始め、数か月後に移植する手順が当たり前になるかも知れません。
    


 二酸化炭素の分解固定  


空気中の二酸化炭素と水を加工して一酸化炭素と水素に固定できれば、地球温暖化の軽減や、合成燃料の材料候補として有望です。日本でも研究されています。問題は効率です。    

イギリスの研究者が光と触媒を使った装置の開発に成功しました(https://doi.org/10.1038/s41560-025-01714-y)。光を使って二酸化炭素を濃縮し、また光を使って水と反応させるそうですから、理屈では非常にクリーンな方法です。ただし、商業的に成り立つかどうかは分かりません。空気中の二酸化炭素の濃度は薄いので、かなり濃縮しないといけないはずで、それだけでも大変でしょう。触媒の選択がカギになる気がします。    

一酸化炭素と水素を原料にした燃料は、戦前のドイツで開発され、ナチス時代に実用されていたようです。おそらく豊富な石炭を使っていたのでしょう。もっと早く技術が進歩していたら、石油への依存度が下がりますから、日本もアメリカと戦争しなくて済んだかも知れません。    

トランプ政権は温暖化を気にせず、石油資源の利用に積極的と聞きます。人の話を聞く大統領ではなさそうなので、温暖化は進むでしょう。日本政府は原発を積極利用する方針だそうですが、安全性に目をつぶる必要があり、手放しでは賛同できません。  



診療所便り 令和7年4月分より・・・(2025.03.31up)