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当院はワクチン定期接種のため、フルービック(小児用経鼻インフルエンザワクチン)、ヌバキソビット(新規の不活化コロナワクチン)を導入しました。両者とも大きな副作用は出ていないようです。 
インフルエンザやコロナは、さまざまな後遺症を残す感染症であることが分かって来ました。全身に影響を及ぼすので、考えてみれば当然です。この冬に感染症がどの程度流行するのか分かりませんが、後遺症を残したり、増える死者を漫然と見送ることは、なるべく避けたいものです。
    


 混合診療 

健康保険を使う通常の診療と保険外の診療を併用すると、「混合診療」と見なされ、診療規則違反になります。この規則のそもそもの目的は、金持ちだけが高度な医療を利用するのを避けることにあったそうです。 

健康保険を使った診療日に予防接種や健診を兼ねる場合も、混合診療に該当するとされています。健診のためだけに来てもらうのは気の毒だから、診療といっしょに・・・というのは、役所側には認められない理由のようです。診療日は原則として診療のみ、健診や予防接種は、また来院いただくよう、お願いします。  

すでに多くの方に御協力いただいており、御迷惑をおかけして申し訳なく思っています。 特殊な事情がある場合は混合診療を実施することも可能と思いますが、非常に細かい規定があって、受診者ごとに料金の違いが発生し、不平等が生じます。会計も複雑になり、おそらく解釈の違いによる再請求や返金が生じる可能性もあり、望ましくないと思います。 


予防接種や健康診断が金持ち優先になるはずはないので、規則の本来の目的から外れた方向に解釈が拡がっている気がします。ただ、予防接種や健診の際には問診を要しますので、問診と普通の診療の診察料を二重取りしているから不正行為という理屈も、成り立たないわけではありません。もし不正請求と判断されたら処分を受けますので、診療の維持に支障が生じます。 

規則順守のために、大勢の方が不利益を被るなんて何のための規則だろうか、規則のための規則になっていないかと疑問には思います。法令順守のために効率が悪くなり、さまざまな分野の発展が阻害されることはよく聞く話で、国の発展が阻害されている一因でもあるでしょう。将来は本来の目的、効率の良さに鑑みた対応がなされるよう願っています。
     


 糖尿病と認知症  


糖尿病と認知症は別な病気・・・以前はそんな認識を持っていました。でも両者に密接な関係があるという報告がだんだんと出るようになり、認識を変える必要がありそうでず。   

中国の甘粛省の糖尿病患者の脳を検査した結果、海馬の構造と認知機能、インスリン抵抗性に関連があることが報告されました(Journal of Diabetes.2024;16:e70029)。

海馬は脳組織の一部で、認知機能に重要であることが知られています。 海馬には解剖学的に細かい領域区分があり、この研究によるとその一部が小さくなるグループは、インスリン抵抗性が高い方が多く、認知機能も障害されていました。 

インスリン抵抗性は、インスリンの効果が充分に発揮されない状況を意味します。海馬にはインスリンの受容体があるようです。インスリンへ抵抗性が受容体に影響し、海馬の機能に変化が来て組織が委縮する可能性は否定できません。 

いっぽうで運動が認知機能の維持に有効だという報告は昔からあります。運動はインスリン抵抗性に改善をもたらすため、認知症への効果はインスリン抵抗性を介していたと説明できるかも知れません。   

この研究はそのような可能性を示しただけで、全てが判明したわけではありませんが、海馬に糖尿病の害が及ばないようにするためには、糖尿病の治療の原則を思い出し、食生活、運動の習慣を見直し、体や脳を過剰な糖分にさらさない、少量のインスリンが効果的に働く状態を目指す方向で頑張るべきではないかと思います。     



診療所便り 令和6年12月分より・・・(2024.11.30 up)