6月以降、政府の定める診療の規則が変わります。血圧や糖尿病の治療を継続する場合は、病院と患者さんが治療計画に関する文書を取り交わすよう指導(誘導)されています。
治療方針が明確になるのは良いことですが、面倒な作業が増え、患者さんの都合に合わせにくくなりそうです。文書を読むのは面倒と感じる方も多いでしょう。 
診療現場の自由度を減らし、管理を強めるのが政府の方針と思われますが、常識的に考えると実効性に疑問符がつきます。
文書を増やすと、診療よりも文章書きが仕事の中心になり、診療そっちのけで文章を作成せざるを得なくなり、診療レベルは下がると思います。    
また今回の規則改定の効果をどのように評価する予定なのかも気になります。施策の意義や有効性は、常に判定しないといけません。 
   


 マイクロプラスチックと動脈硬化  

動脈壁から隆起する「プラーク」という病変があります。プラークが不安定化して破綻すると、心筋梗塞や脳卒中の発症原因になります。プラークを調べると、その中に小さなプラスチックの破片(マイクロプラスチック)があると報告されました(N Engl J Med 2024;390:900-910)。  

プラーク病変には、PM2.5など、空気中の微粒子が入っていることは知られていますが、マクロプラスチックも微粒子に含まれ、他の物質や病原体と同じように、おそらく動脈硬化性疾患の原因になっていると考えられます。    

マイクロプラスチックによる海洋汚染の話題は、よく報道されます。人間にも影響がないはずはないですが、魚と違って直接の影響はないかも知れないという淡い期待がありました。でも、やはり体内に侵入し、異物として反応を引き起こしていたようです。

どの程度、人間の体に悪影響を及ぼしているかは分かりません。まさかタバコほどの強力な害はないと思いたいですが、今後の研究を待つしかないでしょう。  

私達はどうすれば良いでしょうか? プラスチックの侵入を防ぐ方法が分かりません。マイクロプラスチックは空気中を漂うと思われます。空気清浄機は有効かも知れませんが、一日中使うのは無理です。マスクで防げば良いかというと、マスク自体がプラスチック製品なので、効果に疑問があります。

我々の身の回りにはプラスチック製品、化学繊維がたくさんあります。衣服、大気中、食塩の中など、避けようのないルートからも人体に入り込むと考えられますので、社会全体でプラスチックの使用量を減らすしか、方法はないのかも知れません。

できたプラークに対しては、エコーなどで状態をかなり把握できますし、コレステロールを下げると安定化し、症状の発症を減らせると思われます。
         


 カルシウム、ビタミンDサプリメントの効果 

テレビや新聞、雑誌の広告には様々なサプリメントの宣伝が載っています。骨を丈夫にして歩行を助ける効能をうたって、カルシウムやビタミンDを含む製品も販売され、人気があるようです。長期間使用した場合の効能を調べた報告が出ました(Ann Intern Med.doi:10.7326)。   

20年ほど飲んだ効果を調べています。結果として、まず寿命は延びていませんでした。骨粗鬆の治療薬全般で言えることですが、薬によって寿命が延びる効果は確認できていません。

骨が丈夫になれば骨折による寝たきりが減って、寿命も延びるという解説を以前はよく読んでいましたが、明確な証拠はないようです。専門家たちの勘違いだったのではないかと思います。骨粗鬆症の治療は、骨折の再発を防ぐ意味はあっても、必ずしも寿命を延ばしません。  

この統計では癌による死亡率が7%も減っており、大きな有益性を示すと思われますが、逆に心血管病は6%増加するなど、良い面と悪い面がありそうな結果でした。 

大腿骨頸部骨折の発生率は、あまり目立って変化していなかったので、骨を強くする効果に関して過剰な期待もできないようです。結局、市販のカルシウム、ビタミンD含有サプリメントは、人に勧められるようなものではなさそうです。




診療所便り 令和6年4月分より・・・(2024.03.31 up)  



 
          

 

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